認知症の家族の運転を止めた成功例と失敗例

[2017/6/29 00:00]

介護経験者へのアンケート

認知症の情報サイト『認知症ONLINE』を運営するウェルクスが、「認知症の恐れがある高齢ドライバーの運転に関するアンケート」の結果を公開しています。

このアンケートは、認知症の介護経験者100名を対象にして、2017年6月に行なわれました。

7割以上の人は運転を止めたことがある

「認知症の兆候がある家族の運転を止めた経験がある」と回答したのは、全体の7割以上でした。

家族に認知症の兆候が現れた時点で、運転を止めるよう働きかける人が多いことが分かります。

出典:ウェルクス

運転を止めてもらえた人は5割弱

運転を止めるよう働きかけた結果を聞いています。

一番多いのは、「本人が納得せず中止できない」でした。

約3割の人は運転を止めることに失敗しています。

「あまり納得はしていないが中止してもらえた」と「本人納得の上で中止してもらえた」を合わせると、5割弱の人は、運転を止めて貰うことに成功しています。

出典:ウェルクス

運転を止めても、自主返納している人は半分程度

運転を中止した場合に、運転免許証の自主返納をしている人は半分を超えています。

安全のことを考えると自主返納が望ましいのですが、なかなか難しいようです。

運転免許証の代わりに交付される「運転経歴証明書」が身分証明証として使えることをアピールして、自主返納が進んだ例もありますので、検討してください。

出典:ウェルクス

成功例と失敗例

最後に、自動車の運転を止めてもらえた成功例と、失敗例を2つずつ紹介します。

  • 【成功例1】家族で運転卒業をお祝い
    父の75歳の誕生日のお祝いと同じ日に免許返納の卒業式をやった。孫娘の似顔絵入りの卒業証書をもらって本人も満足げでした。(45~49歳、女性)
  • 【成功例2】かかりつけ医が強く意見
    信頼しているかかりつけ医から運転をやめるように強く勧めていただき返納できました。父はプライドが高く母や娘の私から運転をやめるよう言っても絶対に納得しないので…。(45~49歳、女性)
  • 【失敗例1】周囲の言い方が不足
    主治医や運転教習の時、警察署に更新に行った時に運転はもう無理だと判断を下してもらえると期待して相談したがやんわりとした言い方しかしてくれなかったので本人を納得させることができなかった。(55~60歳、女性)
  • 【失敗例2】車の次は自転車に
    運転できないと今度は自転車に乗り始めて、大変だった。 万が一、事故を起こして被害者が将来のある子どもだったり、一家の大黒柱であったり、医師であったら、賠償できるのか、と言及して渋々だった。(50~54歳、女性)

成功例と失敗例を見ると、かかりつけ医の言い方によって、本人が納得するかどうかが分かれるようです。

かかりつけ医に相談するときは、あらかじめ「運転を止めさせたい」という意向を相談しておき、強く言ってもらうよう働きかけましょう。

どうしても本人が納得しなかったり、いったん納得したのにまた運転してしまう場合は、「鍵を隠す」「バッテリーを外す」など、物理的な手段で、強制的に運転できないようにする例もありました。

[シニアガイド編集部]