平均で300万円近い被害がある「振り込め詐欺」の増加が止まらない
警察庁が公開した昨年の犯罪情勢
警察庁が「平成28年の犯罪情勢」という資料を公開しています。
この資料を基に、「特殊詐欺」の動向を見てみましょう。
「振り込め詐欺」の増加が止まらない
「特殊詐欺」とは、『被害者に電話をかけるなどして、対面することなく騙し、指定した預貯金口座への振込などの方法により、不特定多数の者から現金等をだまし取る犯罪の総称』です。
被害者に対面しないことと、銀行振込などで送金させることが特徴です。
特殊詐欺の「認知件数」、つまり警察庁が把握した事件の件数は「14,154件」でした。
「特殊詐欺」は、「振り込め詐欺」と「振り込め詐欺以外の特殊詐欺」の2つに分かれています。
このうち、本来の「振り込め詐欺」の増加が止まりません。
振り込め詐欺の件数は、2016年には「13,605件」に上りました。過去5年間に渡って、ずっと増え続けています。
振り込め詐欺の4つの手口
「振り込め詐欺」の手口は主に、次の4つに分類されます。
- オレオレ詐欺
息子などの親族を装って電話をかけ、「交通事故」や「会社における横領の補填」などの名目で現金が至急必要であるかのように信じ込ませて、動転した被害者に、指定した預貯金口座に振り込ませます。 - 架空請求詐欺
「アダルトサイトの利用料」や「延滞料」など、架空の事実を口実に金品を請求する文書やメールなどを送付し、指定した預貯金口座に現金を振り込ませます。 - 融資保証金詐欺
「借金が一本化できる」などの言葉で誘い、融資を受けるための保証金の名目で、指定した預貯金口座に現金を振り込ませます。 - 還付金等詐欺
公務員などを装い、医療費や税金の還付に必要な手続を装って、銀行のATMを操作させて振り込みさせます。
そして、4つの手口のいずれも、基本的には件数が増え続けています。
振り込め詐欺の被害額
「特殊詐欺」全体の被害額は、2016年だけで「407億6,565万円」に上っています(万円以下は切り捨て、以下同)。
「振り込め詐欺」に限定しても、被害額は「375億340万円」です。
金額が大きすぎてピンときませんが、「振り込め詐欺」1件当たりにすると「294万円」となります。
さらに、主な4つの手口について、既遂の場合の1件当たり被害額をみると、次のようになります。
- オレオレ詐欺 326万円
- 架空請求詐欺 446万円
- 融資保証金詐欺 164万円
- 還付金等詐欺 116万円
いずれの手口でも、1件当たり百万円以上の被害がありますが、特に、「オレオレ詐欺」と「架空請求詐欺」は被害額が大きくなります。
この2つの手口は事件の件数も多いので、手口をよく覚えて、あわてて振り込みなどをしないように注意しましょう。
また、不安な点があった場合は、警察庁の「振り込め詐欺対策HP」に掲載されている窓口に相談しましょう。