2017年8月1日から、老齢年金の資格期間が「10年」に短縮
「10年」納めていれば年金が貰える
2017年8月1日から、年金制度が改正され、老齢基礎年金を受け取るために必要な年金保険料の納付済み期間が「10年」となります。
年金保険料は、ある期間以上払い込んでいないと年金が貰えません。これまで、老齢基礎年金を受け取るための納付済み期間は「25年」でしたから、大幅に短縮されます。
つまり、これまでは納付済み期間が「25年」に1カ月でも欠けていたら、年金が貰えなかったのに、今回の改正で「10年」以上払い込んでいれば年金が貰えるようになります。
しかし、これまで貰えなかった人が、年金を受け取るためには、いくつかの注意点があります。
年金を受け取るためには手続きが必要
納付済み期間が短縮されて、新しく年金を受け取る資格ができても、放っておいては年金は貰えません。
日本年金機構から送付されてきた書類に必要事項を記入して、申請をする必要があります。
日本年金機構からの書類は、専用の黄色い封筒で送られてきています。
早い人には2017年2月から、遅い人でも7月上旬には届いているはずです。
まず、この封筒が届いていることを確認しましょう。
手続きにあたっては、2つすることがあります。
- 記載されている名前や年金記録などが正しいことを確認する
- 必要に応じて書類を揃える
なにをする必要があるのか、まず、封筒の中の書類を確認しましょう。
年金が受け取れるのは、最短でも10月から
必要な書類を揃えて申請し、年金の金額が決定すると、「年金証書・年金決定通知書」が送られてきます。
そして、年金が実際に振り込まれるのは、2017年10月以降になります。
過去の年金をさかのぼって貰えるわけではない
なお、今回、10年に短縮されたことで手に入る資格は、将来的に年金が貰える資格です。
すでに年金を貰える年齢になっていたとしても、今の時点までの過去の年金が貰えるわけではありません。
例えば、いま65歳の人が資格ができても、60歳から65歳まで過去5年分の年金は貰えません。これから先、年金が受け取れるようになるだけです。
年金の金額は満額ではない
年金は、加入していた制度や、年金保険料の納付済み期間の長さによって、受け取れる金額が変わります。
今回、新しく資格を得た人は、納付済み期間が短いので、受け取れる年金の金額も、それに対応した金額になります。
ずっと自営業で、厚生年金などに加入していない場合を例にとって、実際にどれぐらい受け取れるかを計算してみましょう。
- 10年:194,825円(16,235円)
- 15年:292,238円(24,353円)
- 20年:389,650円(32,471円)
- 25年:487,063円(40,589円)
- 30年:584,475円(48,706円)
- 40年満期:779,300円(64,942円)
このように、納付済み期間が10年ちょうどの場合、受け取れる年金は月額で「16,235円」が目安です。
もちろん、ゼロよりは、ずっとマシですが、これだけで生活ができる金額ではありません。過大な期待は抱かないようにしましょう。
もちろん、厚生年金や公務員共済などへの加入期間がある場合は、その期間や収入に応じて上乗せがあります。
ここで掲載した金額は、あくまで最低限の場合と考えてください。
10年にちょっと足りないときは「任意加入制度」を
年金保険料の納付済み期間「10年」になっても、あとちょっとだけ期間が足りないという場合もあります。
現在、70歳未満であれば、足りない期間分の保険料を納めて、資格が得られる可能性があります。
利用するのは「任意加入制度」です。
この制度は、本人の申出により「60歳以上70歳未満」の期間に国民年金保険料を納めることで、年金を受給するために必要な資格期間を満たすことができるというものです。
自分の年金記録を確認することや、任意加入制度の手続きが必要ですから、日本年金機構に相談してください。
わからないことは日本年金機構の窓口へ
「黄色い封筒が届いていない」「書類にわからないところがある」などの相談は「日本年金機構」が窓口になります。
日本年金機構が開設している、全国の年金事務所、街角の年金相談センター及び街角の年金相談センター(オフィス)などで相談しましょう。
あらかじめ「ねんきんダイヤル」で予約しておくと、窓口で記録を取り寄せるために待たされません。できるだけ、予約してから行きましょう。