年金をもらうための受給資格期間が「10年」に短縮。来年10月に支給開始

[2016/11/17 00:00]

無年金だった64万人に年金が

年金の「受給資格期間」を、現在の25年から10年に短縮する法律が、2016年11月に成立しました。

これにより、受給資格期間が10年以上25年未満で、年金が貰えなかった人など64万人が、年金が受け取れるようになります。

法律が施行されるのは2017年(平成29年)8月2日で、実際に年金の支給が始まるのは2017年10月となります。

今回成立した改正案の内容。2017年10月から支給が開始される

期間が短い分、金額は少ない

国民年金の加入者が貰える老齢基礎年金は、本来は20歳から60歳になるまでの40年間の全期間保険料を支払うことで、満額が支給されます。

2016年現在の満額は、年額で「780,100円」です。

受給資格期間が10年になって、老齢基礎年金が支給されるようになっても、この満額が貰えるわけではありません。

老齢基礎年金の支給額は、基本的には保険料を支払った期間に比例します。

保険料を支払った期間を5年毎に計算すると、次のようになります。なお、ここでは免除期間のことは考えていません。

  • 支払期間10年:年額195,025円、月額換算16,252円
  • 支払期間15年:年額292,537円、月額換算24,378円
  • 支払期間20年:年額390,050円、月額換算32,504円
  • 支払期間25年:年額487,562円、月額換算40,630円

つまり、保険料を支払った期間が「10年」の場合、貰える年金は月に「1万6千円+α」です。

大きな金額とは言えませんが、これまで0円だった年金が、多少は受け取れるわけですから、良しとしましょう。

どうすれば貰えるのか

2016年11月の時点では、今回の法改正で新しく年金が貰えるようになった人に対する手続きの案内などは、まだ行なわれていません。

手続きの開始に備えて、まずは自分の年金記録を確認しておきましょう。

自分の年金記録は、毎年、自分の誕生月に日本年金機構から郵送されてくる「ねんきん定期便」に書かれています。

ねんきん定期便には、自分が保険料を支払った期間などが書かれていますから、間違いがないか確認しましょう。

また、「ねんきんネット」に登録すると、いつでもネットで「ねんきん定期便」が確認できるようになります。

ねんきん定期便を失くしてしまった人は、日本年金機構の相談窓口へ問い合わせをしましょう。窓口で相談する際は「年金手帳」などが必要となりますので、持参してください。

受給資格期間が10年以上25年未満の人の「ねんきん定期便」の例(ねんきんネット版)。赤で囲った部分が受給資格期間で、245カ月分(約20年分)なことがわかる。まだ法改正の結果が反映されていないので、「老齢年金の見込み額」は表示されていない

「これから」の分は出るが、「これまで」の分は出ない

最後に、今回の法改正で間違いやすい点について、チェックしておきましょう。

まず、「年金はさかのぼっては支給されません」。例えば、現在67歳で、今回の法改正で初めて年金の受給資格ができたとします。では、60歳から67歳までの7年分の年金が貰えるかというと、そうではありません。受給資格は“今”できたので、「これから」の分は出ますが、「これまで」の分は出ません。

もう1つ、今回受給資格期間が短くなったのは「老齢基礎年金」だけではありません。「老齢厚生年金」、「退職共済年金」、「寡婦年金」なども対象となっています。

例えば、「10年以上25年未満の期間、会社勤めや公務員をしていたが、退職して国民年金になってからまったく保険料を払っていなかった」という人は、年金が貰えるようになり、しかも老齢基礎年金だけよりも金額が大きくなる可能性があります。

ぜひ、「ねんきん定期便」で、過去の年金保険料の支払い記録をチェックしてください。

[シニアガイド編集部]