35歳から55歳のミドル層を「できれば中途採用したくない」理由
ミドル層の中途採用について537社にアンケート
中途採用支援サイト「エン 人事のミカタ」が、企業を対象にした「ミドル人材の採用」に関するアンケート調査を行なっています。
このアンケートでは、「35歳から55歳」と定義したミドル層の中途採用について質問しています。
アンケートは2017年6月から7月にかけて行なわれ、537社が回答しています。
「いい人がいれば採用したい」が74%
「今後、ミドル人材を中途採用することについて」という質問では、「いい人がいれば採用したい」という回答が74%を占めました。
しかし、「できれば採用したくない」「採用したくない」など、採用に否定的な会社もあります。
過去に固執する人は嫌われる
「できれば採用したくない」「採用したくない」と回答した企業に、「ミドル層を採用したくない理由」を質問しています。
一番多いのは「自分のやり方、これまでのやり方に固執する」でした。
自分のやり方や経験に固執してしまい、新しい職場に溶け込めないのではないかと、危惧されていることが分かります。
さらに、二番目は「給与が高い」、三番目は「体力的に心配」と、あからさまかつリアルな回答が続きます。
「優秀であること」が一番
次に、「積極的に採用したい」「いい人がいれば採用したい」と回答した企業に、「ミドル層を採用したい理由」を聞いています。
「優秀であれば年齢は関係ない」が一番多く、その人次第であるという意識が感じられます。
二番目は「豊富な経験を必要とする仕事だから」で、三番目は「専門性が高い仕事だから」でした。
年齢を気にされないほど優秀であれば一番良いのですが、そうでなければ「経験」と「専門性」が、ミドル世代の武器と言えそうです。
ミドル採用の目的は「若手人材が採用できないから」
今度は、「3年以内にミドル人材の採用実績がある企業」に、ミドル人材を採用した「目的」を聞いています。
1位は「若手人材が採用できず、年齢を引き上げて人員を確保するため」でした。
「本当は若手が欲しいが来てくれないから」というのが本音なのでしょう。
採用されやすい職種は「営業」「企画」「技術」
「3年以内にミドル人材の採用実績がある企業」に、採用したミドル人材の「職種」を聞いています。
「営業職」が4割、「企画職」が2割、「技術系」が2割でした。
この場合、「企画職」は、経営企画、広報、人事、事務などを指しています。
活動力があるか、専門的なノウハウが必要な職種が有利であることが推測されます。
7割以上が「役職なし」
「3年以内にミドル人材の採用実績がある企業」が採用したミドル人材の「役職」では、「役職なし」が72%でした。
主任相当の「チームリーダークラス」が31%、「課長クラス」が23%で続きます。
つまり、管理職として指示を出すよりも、自分が汗をかいて活動する人が求められています。
厳しい回答は、期待の裏返し
若手が取れないからと代わりに採用され、限られた職種以外は求められず、7割以上は「役職なし」の待遇と、ミドルには厳しい回答が多いアンケート結果でした。
しかし、逆に言えば、転職の際に何が期待されているかということも見えてきます。
「自分のやり方、これまでのやり方に固執する」が欠点と言うのは、「新しい職場に溶け込んでほしい」という期待の裏返しです。
「給与が高い」と言われるのであれば、それが必要条件ではないことを伝えるべきでしょう。
「体力的に心配」と言われるのであれば、自分が先頭に立って活動できる覚悟と体力があることをアピールしましょう。
「自分が何を求めて転職するのか」ということが分かっており、それがきちんと伝わるのであれば、「いい人がいれば採用したい」と考えている採用先の企業にも魅力的に見えることでしょう。
過去の職場での役職や雇用条件が継続することを求めているのではなく、新しい何かを求めているということが伝わらなければ、企業もリスクを取ってまで採用しようと思うはずがありません。