節税メリットを生かして長期で財産を作る「つみたてNISA(ニーサ)」

[2017/10/12 00:00]

毎年40万円を20年間積み立てる

2018年1月から、「つみたてNISA(ニーサ)」が始まります。

これは、毎月一定の金額を長期的に積み立てして、大きな財産を作ることを目的とした、新しい投資制度です。

年間40万円までの範囲で、毎月積み立てを行ない、自分で選んだ投資信託で運用します。

1年間に投資できる金額は「40万円」までです。つみたてNISAの運用期間は20年間です。

つみたてNISAで投資できる金額は、40万円×20年で最大800万円ということになります。

つみたてNISAの口座で行なった取引については、投資で得た利益に税金がかかりません。これは、これまでの「NISA」や「ジュニアNISA」と同じです。

失敗しにくいように作られた制度

つみたてNISAの特徴は、投資に関する知識が乏しい人でも、投資に失敗しにくいように、運用商品が絞られていることです。

  • 「販売手数料」が0円の、いわゆる「ノーロード」の商品に限定される
  • 投資信託にかかる「運用管理費用(信託報酬)」が安い商品に限定されている
  • 買い付けの方式は、定期的に購入する「積み立て投資」だけで、まとめ買いなどはできない
  • 分配頻度が毎月の商品は禁止されている
  • つみたてNISAで扱う投資信託は、期間が無制限か、20年以上のものに限定されている

これにより、「販売手数料」や「信託報酬」によって、利益が減ることを防ぎます。

また、積み立て投資に限定することによって、投資が平準化され、「高値づかみ」などの失敗をしにくくなります。

さらに、毎月一定の分配を行なうことで、元本が減りやすい商品は禁止されています。

長期投資で蓄えを作りたい人に向いている

これまでのNISAやジュニアNISAは、5年間自由に投資して、値上がり益や株主優待を狙うための制度でした。

投資する商品も、個別の株式に投資している人が多くなっています。

一方、「つみたてNISA」は、できるだけ安全に株式投資を行なえるように設計された「初心者向けコース」と考えれば良いでしょう。

一言で言えば、一定の金額を長期間積み立てて、ある程度の規模の蓄えを作ることに向いている制度です。

もちろん、投資対象が投資信託ですから、元本が保障されているわけではありません。

しかし、手数料を減らすなど、損をしにくいような商品に限定されていますし、税金もかかりませんから、ふつうに株式投資を行なうよりも、失敗しにくくなっています。

iDeCoとの比較

つみたてNISAは、老後のための財産を作る方法として「個人型確定拠出年金(iDeCo:イデコ)」と比較されることが多くなるでしょう。

つみたてNISAについては、まだ、分からないことも多いので、詳細な比較はできません。

ただし、大きな違いが2つあることは分かっています。

1つ目は、「つみたてNISA」は途中で解約ができるが、「確定拠出年金」は解約ができないことです。

例えば、老後のために「つみたてNISA」をしていたが、急に現金が必要になった場合は、解約して現金化することができます。ただし、この場合は無税扱いではなくなり税金がかかります。

「確定拠出年金」は年金制度ですから、基本的には60歳を過ぎてから年金として受け取る以外の選択肢がありません。

2つ目は、節税面です。

「確定拠出年金」は、『年金』ですから、積み立てた金額は、全額が所得控除の対象となります。

つまり、積み立てをすればするほど、所得税と住民税が安くなります。

つみたてNISAは、『投資』ですから、所得控除の対象にはなりません。

まとめると、つみたてNISAの方が自由度が高く、確定拠出年金の方が節税では有利ということになります。

始まるまでは情報収集を

つみたてNISAは、まだ投資信託の選定などを行なっている状態で、具体的な申し込みは始まっていません。

ただし、一部の銀行や証券会社では、問い合わせや、予約を受け付け始めています。

つみたてNISAの開始まで、あと2カ月ちょっとあるので、その間に情報収集をしておけば良いでしょう。

最後に、余談を1つ。

つみたてNISAの1年間の上限は「40万円」という設定になっています。

これをうまく使い切るために、年に2回だけ積立金額を変えることができます。

例えば、毎月3万円で、ボーナス月の6月と12月だけ5万円にすると、ピッタリ40万円になります。

また、毎月1万円で、6月と12月だけ15万円にするという手もあります。

どういう積み立て方が自分に合っているかも考えてみると、面白いでしょう。

[シニアガイド編集部]