過労死が多い職種は、「脳・心臓疾患」がドライバー、「精神障害」は医療/福祉
過労死等防止対策白書を公開
厚生労働省が「平成29年版過労死等防止対策白書」を公開しました。
過労死に至る労働災害としては、「脳血管疾患又は虚血性心疾患(脳・心臓疾患)」と、「精神障害」が代表的です。
この2つの分野について、過労死の状況と、過労死が多い職種、実例などを紹介します。
「脳・心臓疾患」は自動車の運転手に多い
業務における過重な負荷によって「脳・心臓疾患」が発症したと認定され、支給決定された件数は、2016年度は260件でした。うち死亡に至ったのは107件です。
認定された人の職種は、「輸送・機械運転従事者」の「自動車運転従事者」が34.2%、「管理的職業従事者」の「法人・団体管理職員」が8.5%、「サービス職業従事者」の「飲食物調理従事者」が5.4%でした。
輸送事業に従事するトラックなどの運転手が、飛び抜けて多いことが分かります。
実際の事例を見てみましょう。
被災者は運送会社でトラックの運転手として勤務していた者であるが、トラックを運転中に、急に手足が動かなくなったため、医療機関を受診したところ、脳内出血を発症していると診断された。被災者は時間外労働時間は毎月のように月200時間を超えており、被災者は発症前1カ月間に月210時間を超える時間外労働を行なうなど過重な業務を行なっており、業務上として労災認定された。
「精神障害」は医療/福祉従事者が多い
一方、業務における強い心理的負荷による「精神障害」を発病したと認定され支給決定した件数は498件でした。うち、未遂を含む自殺は84件です。
認定された人の職種は、「医療/福祉」の「社会保険・社会福祉・介護事業」が9.2%、「医療/福祉」の「医療業」が6.4%、「建設業」の「総合工事業」が5.4%でした。
1位と2位は、医療/福祉事業の従業員です。
残念ながら、医療/福祉関係者の実例はなかったので、ストレスが高い職種として知られるコールセンター従業員の例を見てみましょう。
被災者は情報通信会社においてプログラミングやコールセンター業務を行なっていたが、休日労働も行なうなど長時間労働を行なっていたことから不眠等に陥り、医療機関を受診したところ、精神障害と診断された。被災者は発症時に担当業務に従事するようになってから時間外労働がそれ以前より倍増し月120時間以上となり、また12日間の連続勤務を行なっていたため、強い心理的負荷を受けているとして労災認定された。
追い込まれた時の相談窓口
過重な業務やストレスに追い込まれた時には、誰に相談して良いか分からなくなり、退職や自殺に至る例が少なくありません。
社外の相談窓口の例として、無料で相談できる「労働条件相談ホットライン」を紹介します。
「労働条件相談ホットライン」は、厚労省が民間企業に委託して行なっている事業です。
電話番号はフリーダイヤルで、「0120-811-610」です。
相談時間は、月~金が17時~22時、土日が10時~17時です。年末年始は休業です。