離れて住む家族を電気の使用量で見守るサービス
東京電力以外でも、3社が提供中
遠く離れて暮らしている家族の生活の様子を、電気の使用量の変化で知らせてくれるサービスを紹介します。
2017年11月現在で、このようなサービスを提供しているのが確認できたのは4社でした。
ここでは、東京電力、関西電力、中部電力、九州電力の順にサービス内容を紹介します。
なお、電力会社については、電力の発電、送電、小売のそれぞれについて分業/分社化が進められていますが、ここではわかりやすいように、従来からの略称を使っています。
専用センサーを使う東京電力
東京電力の「TEPCOスマートホーム 遠くても安心プラン」は、Amazon Alexaへの対応など、機能が充実しているのが特徴です。
有料サービスで、月額料金は2,980円です。
電力使用量を見る方法は、見守られる側の家庭の配電盤に専用のセンサーを設置します。
センサーは、無線LAN経由でデータを送るので、別途、インターネットに接続された無線LANルーターなどが必要です。
見守る側は、スマートフォンやAlexa対応のスマートスピーカーで、電気の使用状況を知ることができます。
有料サービスだけに、機能が豊富で3つの特徴があります。
- 消費電力の総量だけではなく、電子レンジやテレビなどの消費電力が大きい家電製品は、個別に使っている状況が分かる。
- 「猛暑なのにエアコンを使用していない」など、いつもと違う状況のときに通知してくれる
- 心配される状況のときは、年に2回まで無料でスタッフが訪問して確認してくれる
サービス対象地域は、沖縄県と離島を除く日本全国です。
そのため、料金決済はクレジットカード払いのみとなっています。
スマートメーターを使う関西電力
関西電力の見守りサービス「はぴeまもるくん」には、いくつかの種類がありますが、現在すぐに申し込みできるのは、その中の「電気使用量データを用いたサービス」のみです。
いくつかの制約はありますが、サービス料金は無料です。
使用条件は、次の3つです。
- 関西エリアで関西電力と契約している
- スマートメーターが設置済み
- 会員サービスの「はぴeみる電」に加入している
このサービスの特徴は、電気使用量をそのまま通知するのではなく、30日間データを蓄積して生活リズムを推定し、それに変化があったときにだけ通知してくれることです。
やたらと多く通知が来ると慣れてしまいやすので、このように、危険が予想される時だけ、通知が来るのは良い判断でしょう。
無料サービスの中部電力
中部電力の「見守りお手伝いサービス」は、スマートメーターを利用する無料サービスで、関西電力のシステムと良く似ています。
見守り先が、中部電力のエリア内にあり、スマートメーターが設置されているのが条件なのは、関西電力と同じです。
ちょっと異なるのは、メールを送信するための条件です。
あらかじめ見守りを行なう時間帯を設定しておき、その時間帯に一定の水準まで電力を使っていないときにだけメールが送られてきます。
月額500円の九州電力
九州電力の「みまもりサポート」は、500円(税抜)の有料サービスです。
スマートメーターを使って使用電力を測り、「過去1週間の使用状況(普段の電気のご使用状況)」と「現在の使用状況」を比較し、普段と異なった使用状況となった場合を検知すると、メールで知らせてくれます。
メールの送り先は5件まで登録できるので、複数の家族に送ることができます。
また、スマホで過去2カ月間の使用状況を確認することもできます。
サービスエリアは、福岡県、佐賀県、長崎県、大分県、熊本県、宮崎県、鹿児島県です。ただし、離島は対象外です。
あらかじめ契約しておくと、提携先から「かけつけ訪問」をしてくれるサービスもあります。
スマートメーターの普及が鍵
電気は、生活に必要な基本的なインフラです。
そのため、電気の消費量を見ていれば、電子レンジや炊飯器による調理、テレビの視聴、エアコンの使用など、生活の状況を把握することができます。
電気の消費量を基にして、見守りを行なうサービスは、実用的で有望な存在と言えるでしょう。
現在の電力各社のサービスを見ると、専用のセンサーを使う東京電力以外は、スマートメーターを前提としたサービスになっています。
通信機能を持ったスマートメーターは、毎月の検針作業が自動化できるため、各社が普及に力を入れています。
例えば、中部電力では2023年までに、全エリアをスマートメーター化する予定です。
現在、対象エリア外の場合も将来的には使えるようになると考えて良いでしょう。
また、通知の内容についても、詳しい内容が分かる東京電力、ある程度の自動判定を行なう関西電力と九州電力、設定内容に忠実な中部電力と方針が分かれています。
現在、各社ともサービスを始めたばかりなので、時間が経つにつれて通知内容も洗練されていくでしょう。
最終的には、ある程度の大きな変化があったときにメールやSNSでプッシュ通知し、それ以外の場合は専用アプリかWebで確認できるというあたりに落ち着くのではないでしょうか。
料金については、基本料金を高くすると普及が進まないので、収益の方法については各社の工夫が必要となります。
例えば、基本サービスは無料とし、危険な状況と判断したときに訪問して確認するサービスを有料オプションにするなどの方法が考えられるでしょう。