「美肌にまつわる12の都市伝説」の真偽を、現役美容ドクターが判定

[2018/1/16 00:00]

現役美容外科医が都市伝説を判定

「美容」の世界には、さまざまな都市伝説があり、それに基づいた商品もたくさん流通しています。

しかし、日々の誤ったスキンケアで自ら美肌を壊してしまっている方も少なくありません。

美肌にまつわる代表的な都市伝説について、美容外科「東京イセアクリニック」の吉種克之(よしたね かつゆき)総院長が、医学的根拠に基づいて、真偽を判定します。

「東京イセアクリニック」により提供された解説をお楽しみください。

怪しげな都市伝説に基づいた化粧品や器具を購入する前に、現役の美容ドクターによる真偽の判定をチェックしましょう。

【伝説1】ヒアルロン酸やコラーゲン入りの化粧水は肌に浸透するのでたっぷりと使ったほうが良い

【正解】×

医学的観点から「化粧水が肌に浸透する」ことは絶対にあり得ません。

浸透という表現で適切であるとすれば「肌の表面(表皮)にある厚み0.02mmにある角質層に存在するNMFやセラミドといった天然の保湿成分が水を吸収しタンクのようにため込む」という意味です。

お風呂あがりに化粧水を塗布する方が多いですが「そもそも入浴後はお肌のタンクに水が最も多くため込んでいる状態」。そこに再度水分を与えても、ため込める量が少なく効果はありません。

保湿で重要なのは、外部から水分を与えることよりも「こまめな水分摂取」が大切です。

食事も水分量の多い野菜等を摂取することで体内の水分量が高まります。脱水している人は唇が渇きますが「外部から水を塗る」よりも、「内側から水を飲み身体に取り込んで潤う」ほうが医学的観点からいっても美肌づくりや乾燥に有効です。

そういった意味ではヒアルロン酸などの有効成分が多いクリームなどを塗布するほうが保湿には良いでしょう。

化粧水はその成分の99%近くが水分であることを考えると、保湿に良いということはありえません。

【伝説2】食事やサプリメントで「ビタミンC」や「コラーゲン」を摂取すると、美肌効果がある

【正解】△

ビタミンCやコラーゲンを経口摂取したからといって、直接的に美肌になるわけではありません。

日焼けをした際などは元々体内にあるビタミンCやコラーゲンが破壊されるためシミの原因ともなりうるので、それらを含んでいる食事やサプリメントを摂取することで長期的なシミ予防となります。

【伝説3】「温泉」や「半身浴での長風呂」は、美肌に良い

【正解】×

「温泉に入ると美肌効果でお肌すべすべ!」とは太古から言われる伝説の1つです。

実は「温泉ですべすべになる」のは【古い角質をはがし取る天然の「ピーリング効果」】が原因です。

温泉には、酸性やアルカリ性など様々なpH値があります。酸性泉は刺激が強く、肌のキメやバリア機能が低下し乾燥肌や肌荒れを悪化することにつながる可能性があります。

また女性に人気の半身浴ですが、残念ながら長時間入浴することで発汗作用からのダイエット効果や、美容(美肌・保湿)効果があるいう医学的根拠はありません。

お風呂は10分~15分浸かるほうが美肌には良いと言えるでしょう。

半身浴のイメージ

【伝説4】日焼け止めは、1年通じて塗った方が美肌に良い

【正解】〇

日焼けをするのは夏だけ! と思いがちですが冬であっても曇りの日でも紫外線は降り注いでいます。

紫外線は、シワやシミの原因となるので、冬だからといって油断は禁物です。

またUVケアを一切せずに過ごすと、肌の弾力が失われる原因になるため、日焼け止めは、1年を通じて塗布したほうが美肌に良いと言えるでしょう。

【伝説5】PM10時~AM2時のゴールデンタイムの睡眠は、美肌に良い

【正解】×

お肌のゴールデンタイムに寝ることで成長ホルモンが分泌するので美肌にいいと思われがちですが、医学的根拠はありません。

成長ホルモンは入眠直後の熟睡期に分泌されます。

目安としては入眠3時間後。昨今の日本において、PM10時に寝るのは現実的ではありませんし、ゴールデンタイムを深く意識しなくて大丈夫でしょう。

しかし、睡眠は健康な肌作りには、とても大切で、新陳代謝を促し美肌を維持し、シミやシワの予防にもつながります。自身にあった睡眠時間で良質な睡眠を心掛けてください。

【伝説6】マスクを着用すると、保湿され美肌に良い

【正解】×

喉のケアのためにマスクをつけるのは効果的ですが、「美肌の保湿目的」となると話は別です。

マスクを着用している時間が長くなると、雑菌が増えニキビや肌荒れをおこす可能性があります。

ニキビ等を隠すためにマスクを使用すると、外部からの刺激や摩擦により炎症が悪化したりつぶれてニキビ跡となってしまいます。長時間の着用は気をつけましょう。

【伝説7】「ほうれい線(法令線)」は、「シワ」だと思う

【正解】×

法令線は「シワ」と思われがちですが、実はその正体は「頬のたるみ」です。

年齢を重ねると肌の水分やコラーゲンが減少し、頬全体を支えている内側の組織がたるんでいきます。そのたるみが下がることで法令線となります。

鼻の両脇から唇の両端に伸びているのが「ほうれい線」

【伝説8】骨格を矯正するマッサージを受けると、小顔になる

【正解】×

常識でお分かりの通り、少しばかりの力で骨自体を動かすことはできません。

医学的観点で考えても、骨を動かし小顔になるということはありませんし、もしも動いたとしたらそれは「えらいこと」です。

施術を行なうことでぐっと顔が押さえつけられ一瞬小顔になるように感じますが、すぐ戻ります。また摩擦により将来のたるみの原因にもなりうるので、注意が必要です。

【伝説9】顔のリンパマッサージは老廃物の蓄積を改善できフェイスラインがすっきりする

【正解】×

医学的に顔の老廃物というのは存在しません(医学的根拠なし)。

マッサージ後、一時的にすっきりした感じがしてもすぐに戻ります。

また「むくみ」とは「身体全体の水が溜まり起こる症状」を指します。

シワやむくみ、たるみの改善を期待しお顔のマッサージ器具などを使用される方も多いですが、逆に肌への強い刺激や摩擦は肌トラブルやシワの原因になってしまうこともあります。

近年、正しい洗顔方法として「泡立てネット等を使用ししっかり泡をつくり手と肌が触れ合わない程度に泡で優しく洗う」ことが言われて久しい通り、直接の肌への刺激はご法度です。

また肌への刺激として「化粧水を手やコットン等でパッティングをしてつける」方がいらっしゃいますが、こちらも基本NGです。多くつけようとして押さえる回数が増えると肌の刺激につながり赤ら顔の原因ともなりえます。

【伝説10】顔の筋肉は鍛えたほうが、シワやたるみの改善になる

【正解】×

顔を縦横に伸ばしたりグーパーして鍛える方法ほか、様々な鍛え方をしシワやたるみ改善がするというのが昨今見受けられますが、実はその方法だと逆に悪化させてしまう可能性があります。
シワは表皮上にできるため顔の筋肉とは関係がありません。また、たるみにおいても筋肉上に発生するものでもありません。顔の筋肉を鍛えようと無理に引き上げたり、引っ張ったりすると、摩擦によりシワやたるみができやすくなってしまうので、やりすぎには注意が必要です。

【伝説11】蒸気やスチームを顔にあてることは、美肌効果につながる

【正解】×

蒸気を顔に直接あてることでの保湿効果はなく、医学的観点でいうとそれは逆効果です。

あてた直後は保湿された気になりますが、その後すぐに水分は蒸発してしまいます。

そればかりでなく表面の水分だけでなく肌の潤いを保つのに大事な角質層の水分も蒸発させてしまい、結果「乾燥しがちな肌」になってしまいます。

また蒸気をあて続けることで雑菌によりニキビ等の肌荒れを引き起こす原因にもなるので注意が必要です。

美容用スチーマーのイメージ

【伝説12】スマホの使い過ぎは「首にシワ」や「顔のたるみ」の原因になる

【正解】×

スマホの使いすぎでシワやたるみになることの医学的根拠はありません。

昨今スマホが原因で老け顔になるともいわれますが、鵜呑みにする必要はありません。信じ込むことにより精神的にも負担がかかるので注意が必要です。

[シニアガイド編集部]