2017年の「特殊詐欺」は28.6%も増加。いまだに「オレオレ詐欺」が主流

[2018/2/9 00:00]

「特殊詐欺」についてのレポート

警察庁が、2017年の特殊詐欺(とくしゅさぎ)事件についての報告書を公開しています。

「特殊詐欺」は、面識のない不特定の者に対し、電話その他の通信手段を用いて、現金などを騙し(だまし)取る詐欺です。

警察庁が確認した特殊詐欺件数は、前年から大幅に増えており、対策が急がれています。

昨年より28%も増加

2017年の特殊詐欺の件数は「18,201件」でした。

昨年から28.6%も増加しています。

出典:警察庁

特殊詐欺による被害金額は、やや減少したものの「390億円」に達しています。

事件1件当たりの被害金額は「226.7万円」に上り、一度騙されると、かなり大きな被害を受けることが分かります。

いまだに「オレオレ詐欺」が主流

特殊詐欺を手口別に分析すると、大きく4つに分かれます。

一番多いのは「オレオレ詐欺」です。

これは、息子などを装った電話をかけ、交通事故の示談金などを名目にしてお金を騙し取るものです。

次に多いのが「架空請求詐欺」です。

これは、「未払いの会費がある」などと架空の請求を行ない、お金を騙し取ります。

この2つで、特殊詐欺全体の約80%を占めます。

「還付金詐欺」は、役所などを名乗り、税金や保険料等の還付等があると騙します。

還付金詐欺は、対策が功を奏して、件数が減少しました。

「融資保証金詐欺」は、事業者などに低利の融資を勧誘し、融資に必要な保証金や信用調査等を名目にしてお金を取ります。

融資保証金詐欺は、景気の回復を反映して、かなり件数が減りました。

出典:データを基に編集部が作成

キャッシュカードや電子マネーを使う手口が増えている

特殊詐欺において、大きく変化しているのが、騙し取った金を受け取る手段です。

以前主流だったのは、ATMなどで振り込ませる「振込型」と、現金を直接受け取りに行く「現金手交型」でした。

しかし、ATMなどは監視の強化や、高齢者への声掛けなどの対策が進みました。

そのため、次の2つの手口が増えています。

「キャッシュカード手交型」は、「口座の変更手続がいるので銀行協会の者がキャッシュカードを取りに行く」など言って、直接キャッシュカードを受け取りに来ます。受け取る際には現在の暗証番号も聞いていきます。

「電子マネー型」は、コンビニなどで販売されているプリペイドカード式の「電子マネー」を買わせて、そのカードの番号を電話やメールなどで受け取ります。受け取った電子マネーは、犯人が現金のように使えます。

出典:データを基に編集部が作成

なお、現金をレターパックや宅配便で送らせる「現金送付型」も増えています。

これは、「現金送付型」に分類されている「収納代行利用型」が増えたと分析されています。

「収納代行利用型」は、次のような手口です。

まず、犯人は振込用の口座を作り、コンビニ決済を代行する収納代行業者に登録しておきます。

騙された人は、「コンビニ払い」を指示され、端末を操作して、犯人が教えた支払番号を入力します。支払い番号を印刷した紙が出て来るので、それをレジに持っていてお金を支払います。

すると、犯人の持つ口座に、お金が振り込まれてしまいます。

2017年だけを見ても、後半から大きく伸びていることが分かります。

出典:警察庁

高齢者は注意が必要

特殊詐欺の被害者のうち「72.3%」が65歳以上の高齢者です。

特に「オレオレ詐欺」と「還付金詐欺」では、被害者の90%以上が高齢者です。

高齢者や、その家族は、自分たちが特殊詐欺の犯人に狙われていることを意識しましょう。

特殊詐欺に関係する検挙件数は、増えていますが、詐欺が無くなったわけではありません。自分たちが騙されない対策が大切です。

通話の自動録音装置などを無料で貸し出す自治体も増えていますから、高齢者世帯の固定電話には導入を検討してください。

出典:警察庁
[シニアガイド編集部]