会社員の健康保険料が高いのは「佐賀県」、安いのは「新潟県」

[2018/5/16 00:00]

協会けんぽの保険料は都道府県単位で決まる

会社員の健康保険料は、給与の金額に「保険料率」を掛けて計算します。

多くの会社が加入している「全国健康保険協会(協会けんぽ)」の場合、保険料率は10%前後です。

ただし、保険料は、事業主と被保険者が半分ずつ負担します。

そのため、実際に従業員が給与から天引きされるのは、給与の5%前後になります。

この「保険料率」は、2009年までは、全国共通で「10%」でした。

しかし、使われる医療費が地域ごとに異なることから、2009年9月分からは、都道府県単位で保険料率が設定されるようになりました。

同じ収入であっても、会社(事業所)が立地している都道府県によって、健康保険料に差が付くことになったのです。

もちろん、保険料率が高ければ、徴収される保険料も高くなります。

さきほどの例で言えば、保険料率が0.1%上がると、毎月の保険料は「1,650円」高くなります。

給与から天引きされるので意識していないかもしれませんが、自分が払っている健康保険料は、毎年変わっているのです。

では、どの県が保険料率が高く、どの県が安いのでしょう。

2018年4月以降に適用される、平成30年度分の保険料率を基にして見て行きましょう。

全都道府県の保険料率の一覧は、記事末に掲載しています。

保険料率が高いのは「佐賀県」

平成30年度に、もっとも保険料率が高いのは「佐賀県」です。

保険料率は「10.61%」ですから、10%時代に比べると、0.61%も上がっています。

2位は「徳島県」ですが、保険料率は「10.28%」です。

徳島県と佐賀県では、保険料率に0.33%も差があり、佐賀県の保険料率が飛び抜けて高いことが分かります。

なお、保険料率が高い県は、前年度に比べて料率が上がっている県が多いのが特徴です。

  1. 佐賀県 10.61% ↑(前年度から引き上げ)
  2. 徳島県 10.28% ↑
  3. 大分県 10.26% ↑
  4. 北海道 10.25% ↑
  5. 香川県 10.23% ↓(前年度から引き下げ)
  6. 福岡県 10.23% ↑
  7. 長崎県 10.20% ↓

保険料率が低いのは「新潟県」

平成30年度の保険料率が、もっとも低いのは「新潟県」です。

保険料率は「9.63%」ですから、10%時代に比べると0.37%も安くなりました。

2位は「長野県」で「9.71%」です。

「静岡県」「福島県」までが、9.8%を切っています。

保険料率が低い県は、昨年度に比べて料率が下がる傾向があります。

つまり、保険料率が高い県と低い県では、ますます差が広がっているのです。

  1. 新潟県 9.63% ↓(前年度から引き下げ)
  2. 長野県 9.71% ↓
  3. 静岡県 9.77% ↓
  4. 福島県 9.79% ↓
  5. 富山県 9.81% ↑(前年度から引き上げ)
  6. 滋賀県 9.84% ↓
  7. 岩手県 9.84% ↑
  8. 埼玉県 9.85% ↓
  9. 千葉県 9.89% →

値上げ幅が大きいのも「佐賀県」

平成29年度から30年度にかけて、18の道府県で保険料率が上がりました。

では、保険料率の「引き上げ幅」が、もっとも大きかった県は、どこでしょう。

実はこれも「佐賀県」でした。

佐賀県は、10.47%から10.61%へと0.14%も上がりました。

2位は「徳島県」で、こちらは0.10%上がっています。

なお、「宮崎県」と「山形県」は、昨年度までは10%を切っていたのですが、今年度は10%を超えてしまいました。

  1. 佐賀県 10.47%→10.61% 0.14%プラス
  2. 徳島県 10.18%→10.28% 0.10%
  3. 大分県 10.17%→10.26% 0.09%
  4. 宮城県 9.97%→10.05% 0.08%
  5. 山口県 10.11%→10.18% 0.07%
  6. 山形県 9.99%→10.04% 0.05%
  7. 兵庫県 10.06%→10.10% 0.04%
  8. 大阪府 10.13%→10.17% 0.04%
  9. 福岡県 10.19%→10.23% 0.04%

「滋賀県」と「山梨県」は大きく値下がり

平成29年度から30年度にかけて、保険料率が「引き下げ」られたのは24の都県でした。

「据え置き」の県が5つあります。

保険料率の引き下げ幅が一番大きかったのは「滋賀県」と「山梨県」で、ともに0.08%下がりました。

滋賀県は9.92%→9.84%に下がったので、「保険料率が低い県」でも6位になりました。

もともと保険料が安い方でしたが、全国でも有数の安い県になったのです。

山梨県は、前年度は10%を超えていたのが、今年度は10%を切りました。

10%に統一されていた時代よりも安くなったのですから、値下げの有り難みがあります。

  1. 滋賀県 9.92%→9.84% 0.08%マイナス
  2. 山梨県 10.04%→9.96% 0.08%
  3. 新潟県 9.69%→9.63% 0.06%
  4. 福島県 9.85%→9.79% 0.06%
  5. 長野県 9.76%→9.71% 0.05%
  6. 静岡県 9.81%→9.77% 0.04%
  7. 岐阜県 9.95%→9.91% 0.04%
  8. 広島県 10.04%→10.00% 0.04%
  9. 高知県 10.18%→10.14% 0.04%

企業立地にも影響するほどの差

協会けんぽの保険料率は、一番高い「佐賀県」と一番低い「新潟県」では、保険料率の差が0.98%もあります。

これだけ違うと、個人の保険料でも、年間で数万円の差が出ます。

さらに、そこに立地している企業にとって、保険料の負担の差は、大きなものになります.

保険料率が低い県は、企業を誘致する際に「健康な従業員が多く、健康保険料の企業負担分が安い」とアピールできるのです。

不気味なのは、現時点で保険料率が高い県の多くは、さらに料率が上がる傾向にあることです。

保険料率は、使用した医療費の実績で決まります。これ以上、保険料が上がらないようにするために、医療費の無駄遣いには気をつけましょう。

平成30年度(2018年度) 都道府県別保険料率

県名 保険料率
北海道 10.25%
青森県 9.96%
岩手県 9.84%
宮城県 10.05%
秋田県 10.13%
山形県 10.04%
福島県 9.79%
茨城県 9.90%
栃木県 9.92%
群馬県 9.91%
埼玉県 9.85%
千葉県 9.89%
東京都 9.90%
神奈川県 9.93%
新潟県 9.63%
富山県 9.81%
石川県 10.04%
福井県 9.98%
山梨県 9.96%
長野県 9.71%
岐阜県 9.91%
静岡県 9.77%
愛知県 9.90%
三重県 9.90%
滋賀県 9.84%
京都府 10.02%
大阪府 10.17%
兵庫県 10.10%
奈良県 10.03%
和歌山県 10.08%
鳥取県 9.96%
島根県 10.13%
岡山県 10.15%
広島県 10.00%
山口県 10.18%
徳島県 10.28%
香川県 10.23%
愛媛県 10.10%
高知県 10.14%
福岡県 10.23%
佐賀県 10.61%
長崎県 10.20%
熊本県 10.13%
大分県 10.26%
宮崎県 9.97%
鹿児島県 10.11%
沖縄県 9.93%

【お知らせ】この記事は、2018年5月16日に内容を更新しました。

[シニアガイド編集部]