「屋根が歪んでいて、次の地震で崩れる」と、高齢者を脅す「点検商法」の手口

[2018/3/3 01:11]

自宅を襲う「点検商法」

国民生活センターが、不要なリフォーム工事などを行なう「点検商法」について警告しています。

「点検商法」は次の手順で行なわれます。

  • 住宅の屋根や床下を「点検してあげる」と持ちかける
  • 点検の結果「このままでは大変なことになる」と消費者の不安をあおる
  • 新しい商品を売りつけたり、リフォームなどのサービスを契約させる

特に、高齢者が住む一戸建て住宅がターゲットとなっており、「大雪で屋根が歪んでいる」などと点検をうながし、「このままでは、次の地震で崩れる」など脅して、高額なリフォーム工事を売りつけます。

出典:国民生活センター

被害者の多くは、60代以上の高齢者です。

日中、自宅に居ることが多いことや、築年数が長い家に住んでいることなどが理由とされています。

出典:国民生活センター

1つ工事をすると、次々に工事を迫る

「点検商法」を行なう業者は、1つ工事を依頼すると、次から次へと、追加の工事を押し付けてきます。


【実例】若い女性が突然「無料点検するので床下を見せてほしい」と訪問してきた。

 無料ならと思い家に上げると、女性は床下の深さを調べ、「この深さなら床下に入って点検できる。今、男性が近所を回っているので、すぐに床下を見てもらう」と言ってきたが、その日は時間がないので断り、別の日に約束をした。

 数日後、業者が来て、台所の床下に入ったところ、「湿気がひどく、換気口の木枠が水漏れで腐っている。このままにしておくと大工事をしなければいけなくなる」と言われ、木部補強工事、基礎補強工事、カビ処理、防虫防蟻(ぼうぎ)処理として約15万円の契約をした。

 工事の日、床下にもぐった作業員から「台所だけでなく、他の場所も木にカビが生えている。床下全面に調湿剤をまいた方がよい」と言われ、新たに約85万円の契約をした。その後、水道管、トイレを次々に工事することになり、総額約175万円になったが、市の広報で注意喚起されている悪質商法の手口と同じではないかと心配になった。どうしたらよいか。(60代女性)

さらに「点検した箇所に不具合がある」として修理工事を勧めてきたが、実際は工事の必要がなかった例や、自治体の関係業者を装う悪質な例もあります。

赤枠が狙われやすいポイント 出典:国民生活センター

「無料で点検」には対応しない

国民生活センターでは、「点検商法」の被害を避けるために、次のように警告しています。

  • 「無料で点検する」などと訪問してくる業者には対応しない
  • 点検する場合でも、点検結果は冷静に受け止める
  • せかされても、その場で契約しない
  • 契約する場合は、複数社から見積もりをとる
  • (お金が出るかどうかわからない)火災保険などの申請を前提とした工事の勧誘には応じない

不安に思ったら、すぐに「消費者ホットライン(Tel.局番なしの188)」や、住宅リフォーム・紛争処理支援センターへ相談しましょう。

[シニアガイド編集部]