「誰でもできる手軽な副業」で、大金を騙し取る「在宅ワーク詐欺」の手口
「在宅ワーク」詐欺を警告
消費者庁が、在宅ワークの提供をうたいながら、高額の料金を請求する業者について、警告を発しています。
消費者の被害の拡大を防止するために業者名や、その手口が公開されました。
この記事では、この詐欺を「在宅ワーク詐欺」と呼びますが、「副業詐欺」「内職詐欺」と呼ばれることもあります。
その手口を中心に解説しましょう。
過去にも業者名を公開
今回、「在宅ワーク詐欺」の疑いで、警告されているのは「株式会社Social Net(ソーシャルネット)」と「株式会社Smart Plan(スマートプラン)」の2社です。
この2社は、いずれもWebサイトに記された所在地に存在せず、商業登記も存在しません。
これまでに、消費者庁は同様の手口による会社の名前を4社公開していますが、いずれも商業登記されていませんでした。
在宅ワーク詐欺の手口
これらの業者の手口は、次の手順で行なわれます。
- ウェブサイトで勧誘
- 研修を通じて稼げる気にさせる
- 契約時になって突然、ホームページの作成費用として高額な初期費用を請求する
- さらに、ホームページの改良の名目で高額な追加費用を請求する
消費者庁が公開している図で流れを見てみましょう。
巧妙に誘導して、お金を振り込ませる
この図だけ見ると、いきなり高額な初期費用を請求された時に、どうしてお金を支払ってしまうのが分からないかもしれません。
もう少し、詳しい手口を見てみましょう。
この2社は、研修の後で消費者に対し、本採用になったことを告げます。
この時に初めて、在宅ワークを始めるためには、2社が消費者に提供する専用のウェブサイト(以下「ホームページ」)の制作、管理などの初期費用として、約50万円を支払う必要があると説明します。
消費者が支払をためらったり、拒んだりすると担当者は、次のように説き伏せます。
- 「月々300万円以上稼げる人もいるので、あなたもそれだけ稼いでもらいたい」
- 「あなたなら1か月で60万円ぐらいは稼げるから、14日間もやれば元が取れます」
- 「30日間で売上が出なかった場合は、支払った代金を返納します」
このように、都合の良いことを告げられて、支払ってしまうのです。
在宅ワークを始めた消費者には、当初、在宅ワークの報酬として1日当たり数千円を数回支払って、消費者を安心させますが、その後支払がなくなります。
そして、次のような理由を述べて、追加料金を請求してきます。
- 「アクセスが集中して起動が遅くなっているので、この問題を解消する必要があります」
- 「あなたのホームページにアクセスが集中していて、サイトに入れない人がいる。もう少しホームページを広げてみませんか」
- 「ホームページのアクセスが増えているが、クレジット決済ができない状態なので、サーバーを改良した方がいい。アクセス数も2倍になるし、商材の購入者も増えるので、今よりも稼げる」
追加費用の支払をためらったり、拒んだりする消費者には、「売上げに納得しなかった場合は返金します」などと勧誘します。
追加料金を支払ってしまうと、さらにエスカレートして追い打ちをかけられ、カモにされます。
- 「ホームページの改良には500万円かかっているので、銀行からお金を借りて追加で支払ってほしい」
- 「会社の運営に困っているので、協力してほしい」
このようにいろいろな理由をつけて、どんどんお金を吸い上げられてしまうのです。
お金を振り込む前に、まず相談を
消費者庁では、「このような取引に関して不審な点があった場合は、お金を支払う前に、各地の消費生活センター等や警察に相談しましょう」と呼びかけています。
もよりの消費生活センターを案内する「消費者ホットライン」は「188」、「警察相談専用電話」は「#9110」です。
いずれも、全国各地から局番なしでつながります。
少しでも「危ないな」と感じたら、冷静な第三者に相談することから始めましょう。