「誰でもできる手軽な副業」で、大金を騙し取る「在宅ワーク詐欺」の手口

[2018/2/20 00:00]

「在宅ワーク」詐欺を警告

消費者庁が、在宅ワークの提供をうたいながら、高額の料金を請求する業者について、警告を発しています。

消費者の被害の拡大を防止するために業者名や、その手口が公開されました。

この記事では、この詐欺を「在宅ワーク詐欺」と呼びますが、「副業詐欺」「内職詐欺」と呼ばれることもあります。

その手口を中心に解説しましょう。

過去にも業者名を公開

今回、「在宅ワーク詐欺」の疑いで、警告されているのは「株式会社Social Net(ソーシャルネット)」と「株式会社Smart Plan(スマートプラン)」の2社です。

この2社は、いずれもWebサイトに記された所在地に存在せず、商業登記も存在しません。

これまでに、消費者庁は同様の手口による会社の名前を4社公開していますが、いずれも商業登記されていませんでした。

在宅ワーク詐欺の手口

これらの業者の手口は、次の手順で行なわれます。

  1. ウェブサイトで勧誘
  2. 研修を通じて稼げる気にさせる
  3. 契約時になって突然、ホームページの作成費用として高額な初期費用を請求する
  4. さらに、ホームページの改良の名目で高額な追加費用を請求する

消費者庁が公開している図で流れを見てみましょう。

出典:消費者庁
出典:消費者庁

巧妙に誘導して、お金を振り込ませる

この図だけ見ると、いきなり高額な初期費用を請求された時に、どうしてお金を支払ってしまうのが分からないかもしれません。

もう少し、詳しい手口を見てみましょう。

この2社は、研修の後で消費者に対し、本採用になったことを告げます。

この時に初めて、在宅ワークを始めるためには、2社が消費者に提供する専用のウェブサイト(以下「ホームページ」)の制作、管理などの初期費用として、約50万円を支払う必要があると説明します。

消費者が支払をためらったり、拒んだりすると担当者は、次のように説き伏せます。

  • 「月々300万円以上稼げる人もいるので、あなたもそれだけ稼いでもらいたい」
  • 「あなたなら1か月で60万円ぐらいは稼げるから、14日間もやれば元が取れます」
  • 「30日間で売上が出なかった場合は、支払った代金を返納します」

このように、都合の良いことを告げられて、支払ってしまうのです。

在宅ワークを始めた消費者には、当初、在宅ワークの報酬として1日当たり数千円を数回支払って、消費者を安心させますが、その後支払がなくなります。

そして、次のような理由を述べて、追加料金を請求してきます。

  • 「アクセスが集中して起動が遅くなっているので、この問題を解消する必要があります」
  • 「あなたのホームページにアクセスが集中していて、サイトに入れない人がいる。もう少しホームページを広げてみませんか」
  • 「ホームページのアクセスが増えているが、クレジット決済ができない状態なので、サーバーを改良した方がいい。アクセス数も2倍になるし、商材の購入者も増えるので、今よりも稼げる」

追加費用の支払をためらったり、拒んだりする消費者には、「売上げに納得しなかった場合は返金します」などと勧誘します。

追加料金を支払ってしまうと、さらにエスカレートして追い打ちをかけられ、カモにされます。

  • 「ホームページの改良には500万円かかっているので、銀行からお金を借りて追加で支払ってほしい」
  • 「会社の運営に困っているので、協力してほしい」

このようにいろいろな理由をつけて、どんどんお金を吸い上げられてしまうのです。

お金を振り込む前に、まず相談を

消費者庁では、「このような取引に関して不審な点があった場合は、お金を支払う前に、各地の消費生活センター等や警察に相談しましょう」と呼びかけています。

もよりの消費生活センターを案内する「消費者ホットライン」は「188」、「警察相談専用電話」は「#9110」です。

いずれも、全国各地から局番なしでつながります。

少しでも「危ないな」と感じたら、冷静な第三者に相談することから始めましょう。

[シニアガイド編集部]