2018年2月15日に振り込まれた年金の金額が少ないトラブル
2月分の年金がいきなり減額!?
日本年金機構が、2018年2月15日に払い込んだ年金の金額が少ないというトラブルが発生していることが分かりました。
日本年金機構によれば、今年から書式が変わった「扶養親族等申告書」が原因です。
2017年分の「扶養親族等申告書」は、新たにマイナンバーの記入が必要になったため、記入する項目が増えました。
そのため、提出された書類に記入漏れなどが多く、再提出になる例が多発しました。
これによって、日本年金機構の事務処理に遅れが出たため、「扶養親族等申告書」に記入されている内容が反映されず、2月15日の年金額が通常の月よりも少ない金額になった人が多く出た模様です。
日本年金機構では、2月分で不足していた年金については、4月13日振込分で調整するとしています。
事務処理の見積もりの甘さ
「扶養親族等申告書」は、扶養家族の人数や種別などの情報を記入する書類です。
この情報が反映されないと、家族がいることによる控除が行なわれず、年金から引かれる源泉徴収の金額が大きくなります。そのため、受け取る年金の金額が少なくなったのです。
日本年金機構でも、マイナンバーの導入によって、事務処理量が増えることは想定しており、例年は10月に発送される「扶養親族等申告書」を、2017年度分は2017年8月に発送していました。
しかし、その想定以上に事務処理量が膨らみ、今回の結果を招いたものです。
さらに、振込の金額が少なくなった人がいるということについては、報道発表が行なわず、2月16日付けで、日本年金機構のWebサイトに「平成30年2月の老齢年金定時支払における源泉徴収税額について」という分かりにくい名前で「お知らせ」が発表されただけでした。
このため、報道による一般への周知が行き届かず、3月に入ってからも、2月の年金の金額に対する不審や不満の声が広がっていました。
「扶養親族等申告書」の内容が、2月の年金に反映できないことが分かった時点で発表していれば、このような大きな騒動にはならなかったでしょう。
年金の減額は、年金に生活を依存している高齢者の生活に大きな影響を与えるという意識に欠けていると言われてもしかたがない事態でしょう。
委託業者の入力ミスが追い打ち
日本年金機構の「お知らせ」によれば、2月に払い込まれた年金額が少なかった人は、次の通りです。
- 2017年8月にお送りした扶養親族等申告書を未提出の方
- 申告書の提出が提出期限(2017年9月29日)に間に合わなかった場合で、2017年12月11日にも間に合わなかった方
- 提出期限(2017年9月29日)までに提出いただいた申告書を記入内容不備によりお返しした後、再提出期限(2017年12月11日)までに提出が間に合わなかった方
- 申告書の提出が提出期限(2017年9月29日)に間に合わなかった場合で、その後記入内容不備によりお返しした後、再提出が2017年12月11日より後になった方
- 委託業者による入力誤り等によって正しく控除できなかった方(機構において委託業者の入力内容の全件の点検・精査中であり、今後申告書の内容を正確に反映します)
このように、事務処理に伴うトラブルだけではなく、委託業者による入力ミスも発生しており、日本年金機構の委託業者を管理する能力にも問題があったことが分かります。