4月から始まった国民健康保険の新制度で、保険料は下がるか
市区町村から都道府県単位への大改革
国民健康保険の制度は、2018年4月1日から始まった「平成30年度」から大きく変わり、これまでの市区町村単位から、都道府県が後ろ盾になるような形になります。
これまで市区町村単位で決めていた国民健康保険の保険料も、これからは都道府県がある程度のガイドラインを決め、市区町村がそれをもとにして決める形になります。
最終的には、同じ都道府県内であれば、同じ保険料になることを目指しています。
そこで、気になるのは、自分が住んでいる市区町村では、保険料が上がるのか、下がるかです。
現時点では、まだ市区町村による最終的な決定はされていませんが、都道府県が市区町村に指示した金額は明らかとなっています。
厚労省の調査データをもとに、保険料の増減を見てみましょう。
過半数の自治体では保険料が下がる
厚労省のデータでは、確定した金額が出ている「平成28年度」の金額と「平成30年度」の金額を比較しています。
比較の方法は「保険料ベース」と「納付金ベース」という2つの方法があり、都道府県がどちらかを選ぶようになっています。
まず、保険料ベースから見てみましょう。
保険料が値下がりした市区町村は「59%」、値上がりした市区町村は「41%」でした。
次に、納付金ベースを見ると、こちらは値下がりが「55%」、値上がりが「45%」でした。
どちらも、わずかではありますが、「値下がり」する自治体の方が多くなっています。
これまで保険料が高かった自治体に恩恵
このデータを見る限り、「少しの差があるとは言え、値上がりと値下がりが半々なのだとしたら、改革の意味があったのか」という疑問が出てきます。
そこで、値上がりと値下がりの幅ごとに、分布を見てみましょう。
まず、「保険料ベース」からです、黒い線の左側が値下がり、右側が値上がりです。
これを見ると、値下がりする自治体では、値下がり幅が「-3%以上」と大きいところが多くなっています。
一方、値上がりしているところは「0~1%」のところが多くなっています。
下がるところは大きく下がり、上がるところは値上げ幅が小さいことが分かります。
「納付金ベース」の都道府県でも同様で、値下がりする場合は大きく下がり、値上がりする場合はあまり上がりません。
つまり、今回の国民健康保険制度の改革は、人口が少ないなどの理由で、保険料が高めに設定されていた自治体の保険料を下げ、他の自治体と同じ水準にすることが目的であることが分かります。
お住まいの自治体の人口が少ないほど、保険料が値下げされる可能性に期待して良さそうです。
6月の納付書で、金額の確認を
今回の調査結果に対して、一部では「国保料上がる自治体43%」「国民健康保険、市区町村43%で増」などの見出しで、“値上げ”を強調した報道がされています。
しかし、データを見ると分かるように、実際には“値下げ”になる自治体の方が多く、過半数を超えています。
また、分布を見ても、下がる場合は幅が大きく、上がる場合は数%に留まっています。
ですから、保険料の値上げを、あまり恐れる必要はありません。
国民健康保険の保険料の計算方法は、市区町村によって異なりますが、ほとんどの場合は前年の所得が影響します。
したがって、自分の保険料が確定するのは、6月15日頃に届く「納付書」まで待つことになります。
まずは、6月の納付書を待ち、前年度の保険料と比べてみましょう。