年金から天引きされる税金と保険料を少なくする方法
年金からは、いろいろなものが天引きされている
ここ数年で、年金から天引きされるものが大きく変わりました。
一言で言うと、「源泉徴収」や「特別徴収」という名前で、年金から天引きされる税金と保険料が増えているのです。
この変化を知らずに放置していると、受け取る年金の金額が少なくなる可能性があります。
この記事では、高齢になったら貰える「老齢年金」と天引きの関係を紹介します。
振り込まれている年金は「額面」ではなく「手取り」
現在、ある程度の金額の「老齢年金」を受け取るときは、そのままの金額ではなく、税金や保険料が天引きされた後の金額が振り込まれています。
現在、老齢年金から天引きされるのは、「所得税」「住民税」「介護保険料」「国民健康保険料」「後期高齢者医療保険料」です。
医療保険料は、75歳未満なら「国民健康保険料」、75歳以上なら「後期高齢者医療保険料」が天引きされます。
つまり、年金からは4つもの税や保険料が引かれた上で、やっと手元に届いているのです。
この仕組みは、サラリーマンの給与の「額面」と「手取り」の関係と同じです。
「額面」の金額を聞いて喜んでいると、いろいろと引かれた「手取り」の金額が、思った以上に少なくという経験がある人は多いでしょう。
「扶養親族等申告書」が控除を決める
年金から天引きされる「税」や「保険料」を計算するための情報は、毎年、提出する「扶養親族等申告書」がもとになっています。
例えば、所得税や住民税で控除の対象となる配偶者がいる場合、「扶養親族等申告書」を提出していれば、配偶者控除によって天引きされる金額が少なくなります。
また、「扶養親族等申告書」を提出すると、所得税の税率が下がったり、基礎控除が受けられたりします。
逆に言えば、「扶養親族等申告書」を提出していないと、振り込まれる年金の金額は、本来よりも少なくなっています。
「扶養親族等申告書」の書式は、以前よりも複雑になっていますが、それでもサラリーマンが提出する「扶養控除等(異動)申告書」に比べれば、書きやすく配慮されています。
1枚の書類を提出することで、年金の手取りが増えるのですから、毎年の期限までにがんばって提出しましょう。
必要な場合は「確定申告」をしよう
ほとんどの年金受給者は、「天引き」だけで、税や保険料の精算が済んでおり、改めて確定申告を行なう必要はありません。
ただし、公的年金などの収入の合計が400万円を超えている場合や、源泉徴収の対象ではない海外の年金を受け取っている場合、年金以外の所得が20万円を超える場合などは、確定申告が必要となります。
また、「マイホームを住宅ローンなどで取得した」「一定額以上の医療費を支払った」「災害や盗難に遭った」などの場合は、それぞれに応じた控除が用意されています。
これらの場合は、確定申告を行なうと、その分の税金が戻ってきます。
特に、「医療費控除」は、一般には「10万円以上」とされていますが、「所得が200万円以下の場合は、所得の5%以上」も対象となります。
例えば、年金による所得が100万円の場合、医療費が5万円以上であれば、医療費控除の対象となります。年金額が少ない人は、対象となりやすいので、普段から医療費の領収書を集めておきましょう。
年金から引かれる税金や保険料の金額を抑えるコツは、「扶養親族等申告書」をきちんと提出し、さらに必要な場合は確定申告を行なうことです。
せっかく貰えるようになった年金ですから、できるだけ大きな金額が振り込まれるようにがんばりましょう。