2040年の社会保障費は、現在の1.6倍に増加
2040年は現在の1.6倍に膨らむ
2040年の「社会保障給付費」が、2018年の約1.6倍に増えることが分かりました。
これは、政府が経済関係の諮問会議で明らかにしたものです。
社会保障給付費は、医療、介護、年金、保育などの制度に使われる費用です。
2040年は、65歳以上の高齢者の人口が最大になると予測されている年です。
高齢者が増加することによって、医療や介護などの費用が増えることが予想されていましたが、具体的な政府の見通しが公開されたのは、これが初めてです。
介護の費用が2倍以上に
社会保障給付費は、2018年度には「121兆円」です。
2025年度には「140兆円」、2040年度には「188~190兆円」と見込まれています。
2040年度には、2018年度の約1.6倍に膨らむ見込みです。
2040年度の社会保障給付費の分野別内訳を見ると、「年金」が73兆円、「医療」が68兆円、「介護」が24兆円、「保育(子育て)」が13兆円となっています。
2018年度に比べると、「年金」は1.3倍、「医療」が1.7倍、「介護」が2.4倍、「保育」が1.6倍になります。
医療と介護については、今後予定されている適正化が行われることを前提とした数字ですが、それにしても大きく膨らむことが分かります。
税金と社会保険料が上がる
出費が増える分だけ、負担も大きくなります。
社会保障給付費は、税金と社会保険料によって負担されます。
2018年度の負担は、「公費(税)」が8.3%、「社会保険料」が12.4%で、合わせて20.8%です。
これが、2040年度には、「公費」が10.1~10.2%、「社会保険料」が13.4~13.6%で、合わせると23.5~23.7%になります。
社会保障給付が1.6倍に増えるのに、負担は数%しか増えないのは、年金の積立金など過去の蓄積があるからとされています。
それにしても、負担の増え方については、かなり楽観的な数字と考えた方が良いでしょう。
今後は「2040年問題」も話題に
今回、社会保障給付費の見通しが公開された「2040年」は、団塊ジュニア世代(1971~74年生まれ)が高齢者となる時期です。
国立社会保障・人口問題研究所の推計によれば、2040年に、65歳以上の高齢者人口は3,920万人を超えて、ほぼピークとなります。
65歳以上の高齢者の割合である「高齢者率」も、36.2%に達します。
現時点では、団塊の世代が後期高齢者となる「2025年問題」が議論の対象となっていますが、その次の目標として「2040年問題」が話題になる機会が増えていくでしょう。