厚生年金加入を選んだパートタイマーは37万人。事前予想の1.5倍

[2018/5/29 00:00]

厚労省の予想の1.5倍が加入

2016年10月に行なわれた「パートタイマーの厚生年金加入拡大」によって、新たに厚生年金に加入した人が「37万人」もいたことが分かりました。

これは、2018年4月に行なわれた、厚労省の社会保障審議会 年金部会で公開されたものです。

議事録によれば、厚労省の木下賢志 年金局長は、次のように述べています。


御承知のように短時間労働者に対します被用者保険の適用拡大が平成28年(2016年)の10月に施行されまして、当初25万人程度の予定でしたけれども、37万人程度が今、被用者保険のグループに入っておられます。

つまり、厚労省が予測していた加入者数の約1.5倍にあたる人が、厚生年金への加入を選択したことになります。

月給8.8万円以上が基準

2016年10月に行なわれた、パートタイマーへの厚生年金の適用拡大は、次の条件で行なわれました。

  • 従業員数が501人以上の企業で、「特定要件」を満たす短時間労働者

「特定要件」は、次の4つです。

  • 週労働時間が20時間以上
  • 月額賃金が8.8万円以上(年収換算で約106万円以上)
  • 勤務期間が1年以上の見込み
  • 学生ではない

当初の予想では、「厚生年金に加入することによって、手取りの金額が減ってしまうため、労働時間を短縮して、特定要件にかからないようにする人」が多いと予想されていました。

しかし、「多少、手取りは減っても、将来の年金額の増加を優先して、特定要件以上に働く人」が、予想以上に多かったことになります。

実際に、2016年11月末と2017年11月末で、パートタイマーの収入(標準報酬月額)の分布を見ると、「10.4万円以下」が減り、「11.0万円以上」が増えています。

これは、「保険料で手取りが減る分、働く時間を増やす人」が多くなったことの反映でしょう。

出典:厚労省

500人以下の企業でも加入の可能性がある

なお、2017年4月からは、「従業員数が500人以下」の企業でも労使が合意することで、「特定要件」を満たしたパートタイマーが厚生年金に加入することができるようになりました。

国や地方公共団体の場合は、規模が500人以下でも、すべて適用となります。

これによって、2017年末の時点で、約3,000人が新たに厚生年金に加入しました。

将来の年金に対する不安が高まる中で、将来の年金額を増やす手段として、厚生年金への加入を選択する人が多いことが分かります。

出典:厚労省
[シニアガイド編集部]