簡単に稼げると誘う「民泊ビジネス」に注意
民泊新法の報道に便乗
6月15日に「住宅宿泊事業法」、いわゆる「民泊新法」が施行され、「民泊」の位置づけは大きく変わりました。
現在は、民泊新法の施行に伴なう混乱が話題となっています。
しかし、「民泊」に関するトラブルは、民泊を運営する人や、宿泊する人だけに起きているのではありません。
「簡単に儲かる」と言って、セミナーや会員組織に誘う「民泊ビジネス」が横行しています。
ここでは、国民生活センターのレポートから、実例を紹介してみましょう。
実例:「150万円のマニュアルを購入」
以前から登録していたメールマガジンに掲載されていた広告を見て、自宅の空き部屋を利用した民泊ビジネスに興味を持ち、説明会に参加した。初期費用をかけずにビジネスが始められ、トラブル回避のノウハウを教えてもらえるセミナーに参加したり、英語が話せるスタッフのサポート等を受けたりすることができ、初心者でも簡単に民泊で稼ぐことができるとの説明を受け、約150万円のマニュアルを購入する契約を結んだ。
家に帰ってよく考えると、高額すぎるし怪しいと思う。(20代男性)
高額なマニュアルやセミナーを販売
国民生活センターによれば、次のような相談も寄せられています。
- 「資金がなくても儲かるという広告を見て、民泊に関するマニュアルを購入したが、儲からなかった」
- 「初期費用を半年で回収できると勧められ、民泊セミナーの受講契約を結んだが、儲かると思えないので解約したい」
簡単に儲かると思い、民泊に関するマニュアルの購入や、セミナーの受講契約を結んだが、「収入にならない」「儲からなかった」というパターンです。
代行やサポートの契約で追い打ち
さらに、「事業者から、民泊ビジネスで簡単に儲かると説明され、民泊業務を代行してもらう契約を結んだが収入にならない」という相談も寄せられています。
つまり、予約仲介サイトへの掲載や、民泊の運営業務を事業者が代行する契約をしてしまうパターンです。
「民泊」で思うように儲けることができない上に、高額な契約金が出ていくことになります。
知識不足と説明不足で始めてしまった例も
この種の契約にあたっては、契約者の「民泊」についての知識不足につけこんだ例もありました。
例えば、民泊新法の施行前でも、民泊を事業として行なう際には、旅館業法に基づく許可もしくは特区民泊の特定認定を受ける必要がありました。
しかし、事業者からそのような説明がなく契約を結んでしまい、「法律に違反する民泊ビジネスであればやめたい」という相談も寄せられています。
「原野商法」も民泊を利用
一方で、「民泊」というキーワードを使って、昔からある詐欺をリニューアルして売り込む例もあります。
例えば、価値の無い土地を騙して売りつける「原野商法」で買ってしまった被害者に対して、「民泊を経営するので、あなたの保有する山林地を120万円で買いたい。事務手数料として50万円を先に払って欲しいと言われた」と、もう一度、騙しにかかる例がありました。
「簡単に儲かる」には警戒を
国民生活センターでは、消費者へのアドバイスとして、次の2つを挙げています。
- 「民泊で、簡単に儲かる。利益が得られる」というセールストークには注意しましょう
- トラブルにあったら消費生活センター等に相談しましょう
当たり前のことですが、何かの事業を行なうためには、その分野に関する知識が必要です。
「簡単に儲かる」という言葉だけを頼りに、自分が知らない分野に大金をつぎ込まないように注意しましょう。