国民年金や国民健康保険の保険料が払えなくなったときの手続き

[2018/6/16 01:27]

保険料が払えなくなった場合の制度

自営業の人が、失業や病気で働けなくなってしまった場合、国民年金や国民健康保険の保険料の支払いが困難になる場合があります。

ここでは、国民年金と国民健康保険に用意されている免除制度について紹介しましょう。

国民年金の猶予制度

国民年金では、収入の減少や失業等により保険料を納めることが経済的に難しいときには「国民年金保険料免除・納付猶予制度」が用意されています。

これは、申請をすることによって、国民年金の保険料の一部や全部が免除されるものです。

収入に対する基準が公開されているので、免除の対象となるかどうかは、自分でも判断できます。

なお、国民年金の場合、保険金を免除されている期間も、年金の受給資格期間に算入されます。

未払いのまま放置しておく場合に比べて、申請した方が、将来の年金が増えることになります。

重度の場合は「法定免除」もある

さらに、「法定免除」と言って、次の条件に合致する場合は保険料が免除されます。

  • 生活保護の生活扶助を受けている方
  • 障害基礎年金ならびに被用者年金の障害年金(2級以上)を受けている方
  • 国立および国立以外のハンセン病療養所などで療養している方

「国民健康保険」の免除制度

「国民健康保険」にも、免除の制度は用意されています。

ここでは、比較的情報が公開されている「東京都杉並区」の場合を見てみましょう。

国民健康保険の運営は、自治体単位ですから、お住まいの自治体の制度と同じとは限りませんが、参考にはなります。

杉並区のWebサイトでは、免除制度について、次のように説明されています。


 世田谷区国民健康保険では、災害・失業など特別な事情により収入が著しく減少したことで、一時的に生活が困難となり、資産等を活用しても保険医療機関等へ支払う医療費の一部負担金の支払いが困難となった場合には、申請により一定期間支払いを減額・免除または徴収猶予になる制度があります。

 事前の申請が必要です。医療費の見込額をあらかじめ医療機関等にご確認のうえご相談ください。

注意が必要なのは、「治療を受ける前に申請しなければならない」という点です。

そして、ここで言う「特別な事情」としては、次の例が挙げられています。

  • 震災等の災害により、死亡、障害者となり、又は資産の重大な損害等が生じたとき。
  • 干ばつ等により、不作、不漁等で収入が減少したとき。
  • 事業の休廃止、失業等により収入が著しく減少したとき。
  • その他前各項に類する理由があるとき。

つまり、ほぼ収入が得られなくなるほどの、深刻な事態が想定されています。

しかし、収入については具体的な基準は公開されていません。次のように説明されています。


 申請月と、申請月から遡って3カ月間の世帯収入の合計額と、世帯の預貯金が一定基準以下であること。

 減免期間終了後に、生活を立て直す目途が立っているか、その方向に向けて検討していること。

そして、申請にあたっては、世帯の収入状況や、保有資産がわかる書類が必要となります。

具体的には、「給料証明書」「預貯金の通帳」「住居の賃貸契約書」などです。

用意するように指定されている書類から判断すると、国民健康保険の免除制度の適用は、単に収入などの数字で判断するのではなく、どれぐらい困窮しているのかということも含めて、総合的に判断されるようです。

なお、「減額・免除」の期間は3カ月以内、過去の未納分についての「徴収猶予」は6カ月以内と想定されています。

これ以上、長期に渡る場合は、生活保護などが検討されるのでしょう。

相談窓口を確認して、早めの申請を

ここまで見てきてわかるように、国民健康保険の免除制度は、早めの申請が必要です。

生活が苦しくなって、国民健康保険の保険料の支払いが負担になってきたら、すぐに窓口に相談に行きましょう。

「減額・免除」の相談については、支所では受け付けていない場合があります。

自分が住んでいる地方自治体のWebサイトで、窓口を確認してから相談に行くことをおすすめします。

[シニアガイド編集部]