ふるさと納税で、儲かっている県、損している県

[2018/7/30 00:00]

ふるさと納税は、住んでいる自治体に負担を掛けている

「ふるさと納税」は、自分が指定した自治体に「ふるさと納税」という寄付をする制度です。

自分に縁のある地方自治体を、直接応援できるのが「ふるさと納税」の魅力です。

そして、一番の特徴は、後で手続きをすることで、寄付した金額から2,000円を引いた金額が、所得税と住民税から控除されることです。

しかし、その財源は、国と、あなたが住んでいる自治体の住民税です。

極端な言い方をすると、ふるさと納税という制度は、自分が希望する自治体に「ふるさと納税」した分だけ、自分が住んでいる自治体を貧乏にしてしまう制度なのです。

出典:編集部

では、ふるさと納税によって、どの県が儲けていて、どの県が損をしているのでしょう。

総務省のデータをもとに、調べてみました。

「ふるさと納税」によるプラマイを計算

ふるさと納税を受け入れている金額が大きい都道府県は、1位が北海道で「365億円」を集めています。

しかし、北海道の道民も、他の県にふるさと納税をしているので、その分、住民税が「57億円」も少なくなっています。

つまり、差し引きをした上で、「ふるさと納税」という制度によって、北海道が得ているお金は「307億円」ということになります。

同じように、全都道府県の「ふるさと納税」と「住民税の控除額」から、差し引きの金額を計算してみました。

ふるさと納税」で儲かっている県

まず、儲かっている県から見てみましょう。

  • 佐賀県 308億円
  • 北海道 307億円
  • 宮崎県 241億円
  • 山形県 218億円
  • 鹿児島県 170億円
  • 静岡県 137億円
  • 長野県 116億円
  • 高知県 102億円
  • 和歌山県 92億円
  • 福岡県 89億円

1位は「佐賀県」でした。

「ふるさと納税」の金額は、2位の北海道よりも少ないのですが、他の県へのふるさと納税が少なく、住民税が減っていません。

2位は「北海道」でした。

ふるさと納税の金額は大きいのですが、ふるさと納税によって、佐賀県の8倍も住民税が減っています。

3位以下は、ほぼ「ふるさと納税」の金額が多い順になっています。

「ふるさと納税」で損をしている県

「ふるさと納税」で損をしている県は、次の通りです。

  • 東京都 -623億円
  • 神奈川県 -183億円
  • 愛知県 -125億円
  • 埼玉県 -108億円
  • 千葉県 -84億円
  • 兵庫県 -60億円
  • 京都府 -42億円
  • 広島県 -22億円
  • 奈良県 -13億円
  • 大阪府 -11億円
  • 栃木県 -6億円
  • 富山県 -3億円

1位は「東京都」で、ふるさと納税によって、623億円も住民税が減っています。

2位は「神奈川県」、3位は「愛知県」で、いずれも大都市圏の県です。

1位の東京都は、他の県へのふるさと納税によって645億円も住民税が減っているため、目的を明確にして「ふるさと納税」を募るなどの政策も行なわれています。

しかし東京都へのふるさと納税は「22億円」しか集まっておらず、焼け石に水の状態です。

困っている地方自治体を自分の意志で応援したいという、「ふるさと納税」の目的は美しいのですが、これだけ大きな金額が無くなってしまうと、地元の自治体の運営に影響が出てしまいます。

そろそろ、「ふるさと納税」という制度自体に、なんらかの手を加えるべき時期なのでしょう。

[シニアガイド編集部]