ふるさと納税で、儲かっている県、損している県
ふるさと納税は、住んでいる自治体に負担を掛けている
「ふるさと納税」は、自分が指定した自治体に「ふるさと納税」という寄付をする制度です。
自分に縁のある地方自治体を、直接応援できるのが「ふるさと納税」の魅力です。
そして、一番の特徴は、後で手続きをすることで、寄付した金額から2,000円を引いた金額が、所得税と住民税から控除されることです。
しかし、その財源は、国と、あなたが住んでいる自治体の住民税です。
極端な言い方をすると、ふるさと納税という制度は、自分が希望する自治体に「ふるさと納税」した分だけ、自分が住んでいる自治体を貧乏にしてしまう制度なのです。
では、ふるさと納税によって、どの県が儲けていて、どの県が損をしているのでしょう。
総務省のデータをもとに、調べてみました。
「ふるさと納税」によるプラマイを計算
ふるさと納税を受け入れている金額が大きい都道府県は、1位が北海道で「365億円」を集めています。
しかし、北海道の道民も、他の県にふるさと納税をしているので、その分、住民税が「57億円」も少なくなっています。
つまり、差し引きをした上で、「ふるさと納税」という制度によって、北海道が得ているお金は「307億円」ということになります。
同じように、全都道府県の「ふるさと納税」と「住民税の控除額」から、差し引きの金額を計算してみました。
ふるさと納税」で儲かっている県
まず、儲かっている県から見てみましょう。
- 佐賀県 308億円
- 北海道 307億円
- 宮崎県 241億円
- 山形県 218億円
- 鹿児島県 170億円
- 静岡県 137億円
- 長野県 116億円
- 高知県 102億円
- 和歌山県 92億円
- 福岡県 89億円
1位は「佐賀県」でした。
「ふるさと納税」の金額は、2位の北海道よりも少ないのですが、他の県へのふるさと納税が少なく、住民税が減っていません。
2位は「北海道」でした。
ふるさと納税の金額は大きいのですが、ふるさと納税によって、佐賀県の8倍も住民税が減っています。
3位以下は、ほぼ「ふるさと納税」の金額が多い順になっています。
「ふるさと納税」で損をしている県
「ふるさと納税」で損をしている県は、次の通りです。
- 東京都 -623億円
- 神奈川県 -183億円
- 愛知県 -125億円
- 埼玉県 -108億円
- 千葉県 -84億円
- 兵庫県 -60億円
- 京都府 -42億円
- 広島県 -22億円
- 奈良県 -13億円
- 大阪府 -11億円
- 栃木県 -6億円
- 富山県 -3億円
1位は「東京都」で、ふるさと納税によって、623億円も住民税が減っています。
2位は「神奈川県」、3位は「愛知県」で、いずれも大都市圏の県です。
1位の東京都は、他の県へのふるさと納税によって645億円も住民税が減っているため、目的を明確にして「ふるさと納税」を募るなどの政策も行なわれています。
しかし東京都へのふるさと納税は「22億円」しか集まっておらず、焼け石に水の状態です。
困っている地方自治体を自分の意志で応援したいという、「ふるさと納税」の目的は美しいのですが、これだけ大きな金額が無くなってしまうと、地元の自治体の運営に影響が出てしまいます。
そろそろ、「ふるさと納税」という制度自体に、なんらかの手を加えるべき時期なのでしょう。