ガンの治療中に、自分から「依願退職」してしまう人が14%もいる

5人に1人が退職してしまう
自分の病気が「ガン」と分かったときや、治療中に、勤務中の会社を退職する人がいます。
労働政策研究・研修機構という政府系機関のレポートによれば、その割合は5人に1人の割合です。
このレポートの数字をもとに、どうして退職してしまうのかを見ていきましょう。
14%が「依願退職」
ガンで治療中の人の勤務状況を見ると、77%の人は病気が分かったときと同じ会社に勤め続けています。
しかし、約20%、つまり5人に1人は、その会社を退職してしまいます。
特に多いのが「依願退職」です。「14%」もの人が、自分から辞表を出して退職してしまうのです。

深刻な病状で無くても退職してしまう
依願退職した人のガンの進行度を見てみましょう。
ガンの進行度は、5段階で0期(ステージ0)から、IV期(ステージIV)で表記します。
数字が大きいほど、深刻な病状と考えてください。
「依願退職」した人の進行度は、「0期」と「I期」が多く、この2つだけで半分近くを占めます。
ガンの種類にもよりますが、0期やI期は転移もなく、手術だけで治る可能性が高い病状です。
直腸ガンを例にとれば、「I期」の5年生存率は「97.6%」ですから、ほぼ治ると言って良い状況です。
つまり、依願退職する人は、病状が深刻なので退職するというよりは、それ以外の理由で退職していると考えられます。

復職後に退職する人が多い
「依願退職」したタイミングは、「復職後」が一番多く、ほぼ半分を占めています。
つまり、診断確定→最初の治療(手術など)→職場に復帰という流れで、復職したときに「依願退職」してしまう人が多いのです。

「仕事を続ける自信がなくなった」人が多い
では、退職する人は、何が理由なのでしょうか。
ガンで退職した人の「退職理由」を見てみましょう。
一番多いのが「仕事を続ける自信がなくなった」でした。
ほぼ差がなく、「治療に専念するため」「会社や同僚に迷惑をかけるため」が並んでいます。
つまり、ガンを患ったことによって、仕事に対する自信を無くし、周囲にも迷惑をかけてしまうと思いつめて退職してしまう人が多いのです。

あせって退職せずに、まず相談を
「依願退職」は、その人の判断によるものですから、第三者が口を出すことではないかもしれません。
しかし、「ガン」の治療を目指すのであれば、「会社員」という立場は、とても有利なものであることは覚えておいて良いでしょう。
例えば、有給休暇制度や、長期休業時に使える傷病手当金制度などは、会社員だからこそ使える制度です。
また、いったん退職してしまうと、現在と同じような職種や収入が得られるとは限りません。
復帰してすぐに以前のように働けないからと言って、「依願退職」する前に、会社の上司や総務部門などに、勤務の体制や利用できる制度について相談しましょう。