ガンと告知された女性正社員で、会社に報告していない人は「3.5%」

[2017/8/18 00:00]

ガンの経験がある女性へのアンケート

総合人事・人財サービス会社のアデコが、「働く女性におけるガン治療と仕事の両立」についてのアンケート結果を公開しています。

アンケートの対象は、5年以内にガンを罹患し入院経験がある20代~50代の女性200人です。ガンと診断された時点に正社員で、現在も何らかの形で就業中であることを条件としています。

女性に限定している理由は「統計によれば、20代後半から50代前半の働く世代においては、男性よりも女性のガン罹患率(りかんりつ)が高いため」としています。

ガンと診断されたときの不安

ガンと診断されたときの不安は、「仕事への影響」が一番多く、「家族への影響」と「治療による体調の変化」が続いています。

出典:データを基に編集部が作成

働き続けた理由は「家計を維持するため」

ガンと告知された後も働き続けた理由は、「家計を維持するため」が74%でした。

2位も「治療費を工面するため」なので、経済的な理由が大きいことが分かります。

出典:データを基に編集部が作成

ガンであることを会社に報告していない人は「3.5%」

ガンになったことを「勤務先の誰にも打ち明けていない」人は3.5%でした。

つまり、ほとんどの人は、会社にガンであることを伝えています。

また、伝えた相手の92.5%は「直属の上司」でした。

そのまま正社員として働いている人が9割

ガンと診断後の働き方は、「同じ勤務先で、正社員として就業」が89.5%と、ほとんどを占めています。

出典:データを基に編集部が作成

会社に報告したことのメリットとデメリット

会社に報告したことのメリットは、「上司・同僚等の理解や協力が得られた」と「休暇が取りやすくなった」が大きいようです。

出典:データを基に編集部が作成

報告したことによるデメリットは、「特にない」という人が67%でした。

それでも「過剰な気遣いをされた」や「病状をむやみに聞かれた」という人もいます。

出典:データを基に編集部が作成

短い休暇が何度も必要になる

ガンの検査や治療では、ある程度の休暇が必要となります。

「連続した休暇」では「1~10日」が多く、「11~20日」が続いています。

現在のガン治療は、手術を受けた場合でも2週間程度で退院することが多いので、あまり長い休暇を取る必要はありませんから、それが反映されています。

出典:データを基に編集部が作成

一方で、「1年間に取得した休暇」では、「61日以上」が多く、「1~10日」が続きます。

つまり、1回ごとの休暇は短いのですが、それが何度も必要になる場合が多いのです。

出典:データを基に編集部が作成

早期の退職は厳禁。利用できる制度はたくさんある

今回のアンケートでは、「治療のための休暇を取る前に退職した」人が1.5%もいました。

しかし、これは大変もったいない行為で、おすすめできません。

例えば、正社員が加入している社会保険には、「傷病手当金」という優れた制度があります。

この制度を利用すれば、「1年6カ月の間、給与の約3分の2が支給される」ので、有給休暇を超えて休暇を取った場合でも金銭的にカバーできます。

「ガン」だからと言って、あわてて退職してしまうと、せっかくの制度が利用できません。

これ以外にも、正社員に対しては手厚いセーフティネットが用意されています。

勤務先の総務部門にも連絡を取って、利用できる制度を活用して、仕事への復帰を目指しましょう。

[シニアガイド編集部]