提出しないと、年金の手取りが減ってしまう「扶養親族等申告書」
自分の年金額に影響する「扶養親族等申告書」
日本年金機構が、平成31年(2019年)分の「扶養親族等申告書」の発送を始めました。
「扶養親族等申告書」は、年金を受け取っている人に、年に1度発送されている書類です。
「扶養親族等申告書」は、A4数枚の書類ですが、提出しないと所得税が高くなるなど、さまざまな弊害があります。
例えば、2017年に起きた「15万人の年金振込額が少なかった問題」の原因も、データの入力を委託された業者が、「扶養親族等申告書」のデータを正確に入力しなかったためでした。
この書類は、自分の年金の金額に直接影響する、重要な書類なのです。
提出の締切は10月末日
今回の「扶養親族等申告書」の送付は、9月18日から10月2日までに行なわれます。
そして、提出期限は、2018年10月31日です。
「扶養親族等申告書」は公的年金を受け取っている人のうち、所得税がかかる可能性が高い810万人に送付されます。
年金の金額が、65歳未満ならば「年間108万円以上」、65歳以上ならば「年間158万円以上」の人が対象です。
実際は、厚生年金の加入者で、ある程度以上の年金を受け取っている人が対象と考えて良いでしょう。
提出しないと、年金の手取りが少なくなる
「扶養親族等申告書」を提出しないと、何が起こるのでしょうか。
最大の問題は、所得税の税率が高くなることです。
一般の所得税の税率は、復興特別所得税も含めて「10.21%」です。
しかし、「扶養親族等申告書」を提出して申告をすることで、年金に対する税率が「5.105%」になります。
つまり、「扶養親族等申告書」という書類を1枚提出するか、しないかで、所得税の税額が、2倍も変わってしまうのです。
しかも、公的年金に関わる所得税は、自分が受け取っている年金から、あらかじめ天引きされています。
つまり、「扶養親族等申告書」を提出しないと、2カ月に1回振り込まれる年金の金額が、急に少なくなってしまうのです。
二番目の問題は、扶養親族等を対象にした控除が受けられないことです。
「扶養親族等申告書」によって、扶養親族等の情報が申告されると、配偶者を始めとする扶養親族を対象にした「控除」が受けられます。
簡単に言うと、養っている家族がいる、その分の税金が安くなります。
「扶養親族等申告書」を提出しないと、控除を受けることができず、税金が高いままになってしまいます。
1回がんばれば、次から楽になる
以前の「扶養親族等申告書」は、ハガキ1枚で、簡単な書式でした。
しかし、マイナンバー制度の導入とともに、一般的な書類になったため、昨年は提出しない人が多くなり、「年金の手取りが少なくなった」と問題になりました。
「平成31年分」の書式を見ると、そんなに難しい書式ではありません。
扱う情報の量や、記入の難しさは、サラリーマンの年末調整の書類と同じレベルと考えて良いでしょう。この記事の最後に、書式の一部を載せてあるので、チェックしてください。
また、すでに申告したことがある人用の「継続用」の用紙では「変更あり/なし」を記入して、署名捺印をするだけで済むようになっています。
つまり、家族のマイナンバーなどの情報を、きちんと記入して申告しておけば、次の年からは記入を省略できるようになっています。
記入方法がわからないときは、日本年金機構のサイトに、記入例などが公開されています。
それでも良くわからないときは、もよりの年金事務所などに相談しましょう。
提出期限が過ぎていても、できるだけ早く送る
最後に、「扶養親族等申告書」について、よくある質問の答えを紹介します。
10月31日の提出期限を過ぎてしまいました。
提出期限が過ぎてていても、できるだけ早く提出してください。間に合った時点から、税金が安くなり、取りすぎた分については精算されます。
ただし、あまり遅くなると、年が変わってから最初に振り込まれる年金の金額が少なくなってしまいます。がんばって期限内に提出しましょう。
家族のマイナンバー関係の書類のコピーなどは必要ですか。
書類を記入する人が、家族のマイナンバーを確認して記入すれば良く、それを証明するための書類のコピーなどを同封する必要はありません。
送られてきた「扶養親族等申告書」を捨ててしまいました。
日本年金機構のサイトから、PDF形式の「扶養親族等申告書」がダウンロードできます。
自分で印刷できる環境があれば、それを使えます。返送先の住所も、リンク先に書かれています。
手元に印刷する環境がない場合は、もよりの年金事務所または街角の年金相談センターでもらい直してください。