70歳になったら、健康保険の窓口負担を「2割」にする方法
70歳以上75歳未満の負担割合は、人によって違う
病院で治療を受けたときに、自分で払う医療費は、70歳未満の場合「3割」です。
これは、国民健康保険でも、社会保険でも変わりません。
この「3割」を、「窓口負担」と言います。
では、70歳を超えて、75歳で後期高齢者医療制度に移るまでの、5年間の窓口負担は何割なのでしょうか。
実は、これから70歳になる人の窓口負担は、「2割」と「3割」の2通りがあるのです。
ここでは、「社会保険(協会けんぽ)」と、「国民健康保険(国保)」について、どういう条件を満たせば、窓口負担を2割にできるかを紹介します。
社保は「標準報酬月額28万円」が基準
協会けんぽに加入している人が、70歳以上になると「高齢受給者証」という書類が送られてきます。
高齢受給者証には、「一部負担金の割合」という項目があって、「2割」ないし「3割」という窓口負担の割合が書かれています。
「2割」と書かれている高齢受給者証を健康保険証と一緒に提出すると、病院での窓口負担が2割で済みます。高齢受給者証を見せないと、「2割」の人でも「3割」負担になってしまいます。
では、なにを基準にして窓口負担の「2割」と「3割」が決まるのでしょうか。
協会けんぽの場合、「標準月額報酬が28万円未満であれば2割」、「標準月額報酬が28万円以上であれば3割」になります。
自分の「標準月額報酬」が28万円を超えるかどうかわからないときは、会社の総務部門で確認できます。
年収による救済措置がある
「標準月額報酬が28万円以上」であっても、窓口負担を「2割」にする方法もあります。
ただし、これは自分で年収を調べ、協会けんぽに「基準収入額の申請書」という書類を出す必要があります。
今度は、「標準報酬月額」ではなく、「年収」が基準となります。
「年収」が、次のいずれかの基準を満たせば、窓口負担が「2割」になります。
- 一人暮らしで、年収が「383万円未満」
- 二人以上で暮らしていて、年収が「520万円未満」
標準報酬月額が28万円以上であっても、これらの年収基準を満たせる場合は多いでしょう。
提出する際に添付する書類や、書類の書式などは、協会けんぽの都道府県支部に問い合わせてください。
「組合健保」も基本は同じ
なお、自分の社保が「組合健保」の場合も、協会けんぽと基本は同じです。
ただし、保険組合によって、手続きが異なる可能性があります。
まずは、「高齢受給者証」と「基準収入額の申請書」というキーワードを使って、保険組合に相談してみましょう。
国保では「145万円」が基準
次に、自分が加入している健康保険が「国民健康保険(国保)」の場合を見てみましょう。
国保の場合も、ほぼ同じようなシステムで、窓口負担が「2割」か「3割」かが決まります。
ただし、国保では、前年の住民税の「課税所得」という金額が基準となります。
同じ世帯内に、70歳以上75歳未満で課税所得が145万円以上ある人が1人でもいると、「現役並み所得者」となって、窓口負担が「3割」になります。
課税所得が145万円未満であれば「2割」です。
また、「現役並み所得者」向けの救済措置があるのも同じです。
前年の「年収」が、次のいずれかの基準を満たせば、窓口負担が「2割」になります。
- 一人暮らしで、年収が「383万円未満」
- 二人以上で暮らしていて、年収が「520万円未満」
国保の場合、「国民健康保険高齢受給者証」という書類に、自己負担割合が記入されています。
まず、これを確認し、それが「3割」になっている人は、自分の住民税の納税通知書などで、自分の「課税所得」と「年収」を確認してみましょう。
もし、「2割」になる可能性があったら、もよりの役所の窓口で相談して、必要な手続きをしましょう。