70歳になったら、健康保険の窓口負担を「2割」にする方法

[2018/10/2 00:00]

70歳以上75歳未満の負担割合は、人によって違う

病院で治療を受けたときに、自分で払う医療費は、70歳未満の場合「3割」です。

これは、国民健康保険でも、社会保険でも変わりません。

この「3割」を、「窓口負担」と言います。

では、70歳を超えて、75歳で後期高齢者医療制度に移るまでの、5年間の窓口負担は何割なのでしょうか。

実は、これから70歳になる人の窓口負担は、「2割」と「3割」の2通りがあるのです。

ここでは、「社会保険(協会けんぽ)」と、「国民健康保険(国保)」について、どういう条件を満たせば、窓口負担を2割にできるかを紹介します。

社保は「標準報酬月額28万円」が基準

協会けんぽに加入している人が、70歳以上になると「高齢受給者証」という書類が送られてきます。

高齢受給者証には、「一部負担金の割合」という項目があって、「2割」ないし「3割」という窓口負担の割合が書かれています。

「2割」と書かれている高齢受給者証を健康保険証と一緒に提出すると、病院での窓口負担が2割で済みます。高齢受給者証を見せないと、「2割」の人でも「3割」負担になってしまいます。

では、なにを基準にして窓口負担の「2割」と「3割」が決まるのでしょうか。

協会けんぽの場合、「標準月額報酬が28万円未満であれば2割」、「標準月額報酬が28万円以上であれば3割」になります。

自分の「標準月額報酬」が28万円を超えるかどうかわからないときは、会社の総務部門で確認できます。

年収による救済措置がある

「標準月額報酬が28万円以上」であっても、窓口負担を「2割」にする方法もあります。

ただし、これは自分で年収を調べ、協会けんぽに「基準収入額の申請書」という書類を出す必要があります。

今度は、「標準報酬月額」ではなく、「年収」が基準となります。

「年収」が、次のいずれかの基準を満たせば、窓口負担が「2割」になります。

  • 一人暮らしで、年収が「383万円未満」
  • 二人以上で暮らしていて、年収が「520万円未満」

標準報酬月額が28万円以上であっても、これらの年収基準を満たせる場合は多いでしょう。

提出する際に添付する書類や、書類の書式などは、協会けんぽの都道府県支部に問い合わせてください。

出典:協会けんぽ

「組合健保」も基本は同じ

なお、自分の社保が「組合健保」の場合も、協会けんぽと基本は同じです。

ただし、保険組合によって、手続きが異なる可能性があります。

まずは、「高齢受給者証」と「基準収入額の申請書」というキーワードを使って、保険組合に相談してみましょう。

国保では「145万円」が基準

次に、自分が加入している健康保険が「国民健康保険(国保)」の場合を見てみましょう。

国保の場合も、ほぼ同じようなシステムで、窓口負担が「2割」か「3割」かが決まります。

ただし、国保では、前年の住民税の「課税所得」という金額が基準となります。

同じ世帯内に、70歳以上75歳未満で課税所得が145万円以上ある人が1人でもいると、「現役並み所得者」となって、窓口負担が「3割」になります。

課税所得が145万円未満であれば「2割」です。

また、「現役並み所得者」向けの救済措置があるのも同じです。

前年の「年収」が、次のいずれかの基準を満たせば、窓口負担が「2割」になります。

  • 一人暮らしで、年収が「383万円未満」
  • 二人以上で暮らしていて、年収が「520万円未満」

国保の場合、「国民健康保険高齢受給者証」という書類に、自己負担割合が記入されています。

まず、これを確認し、それが「3割」になっている人は、自分の住民税の納税通知書などで、自分の「課税所得」と「年収」を確認してみましょう。

もし、「2割」になる可能性があったら、もよりの役所の窓口で相談して、必要な手続きをしましょう。

[シニアガイド編集部]