収入によって8倍以上の差がある、65歳以上の介護保険料

[2018/10/8 00:00]

65歳以上になると負担感が増す介護保険料

40歳になると、介護保険の「第2号被保険者」になるので、介護保険料を徴収されるようになります。

しかし、会社員の場合は健康保険や年金と一緒に天引きされているので、徴収されることを意識している人は少ないでしょう。

しかし、65歳になって「第1号被保険者」になると、介護保険料は年金から天引きされる決まりになっています。

もともと、多くない年金から天引きされるので、ぐっと負担が重く感じます。

さらに、介護保険料は、自分の所得によって金額が大きく変わるので、年金以外の収入があると、ますます負担感が増します。

この記事では、介護保険料が決まる仕組みと、どうしたら天引きされる金額を下げられるかを見てみましょう。

同じ区内でも介護保険料は8.5倍も違う

介護保険料を決めるためのルールは、市区町村単位で決まっています。

ここでは、東京都大田区を例にしてみましょう。

介護保険料の高低は、その地区内の介護保険の使われ方によって異なります。

つまり、介護保険のサービスを利用している人が多いと、保険料が高くなるわけです。

大田区の基準額は、月額で「6,000円」です。

大田区では、その世帯の収入や状況に応じて、17段階に分類されます。

この分類によって、基準額に掛ける倍率が変わります。

例えば、主に生活保護世帯が対象の「第1段階」では、基準額の0.45倍です。

前年の所得が2,500万円以上の「第17段階」では、基準額の3.40倍です。

具体的な金額で言うと、第1段階は月額2,400円、第17段階は月額20,400円になります。

つまり、収入や家庭の状況によって、大田区の介護保険料は8.5倍もの差があるのです。

年金の天引きが痛い

介護保険料の決め方はわかったので、具体的にどれぐらい天引きされるのか考えてみましょう。

例えば、65歳以上の夫婦二人暮らしで、年金などの収入が年間250万円だったとしましょう。

所得の計算方法は、「収入ー控除=所得」ですから、各種の控除が100万円あったとすると、所得額は150万円になります。

この所得額をもとに介護保険料を計算すると、第5段階にあたります。

介護保険料は、基準額の1.25倍で、月額7,500円です。

年金は、2カ月分を一度に振り込まれますから、介護保険料も2カ月分が一度に天引きされます。つまり、1回の振込ごとに7,500円の2倍の15,000円が引かれてしまうのです。

これは、かなり痛みのある負担と言って良いでしょう。

介護保険料を安くする方法

では、介護保険料を安くするためには、どうしたら良いでしょう。

真っ先に考えつくのは、介護保険料の安いところに引っ越すことです。

しかし、実は地域による介護保険料の差は、あまり大きくありません。

東京23区の基準額は、一番安い千代田区が「5,300円」、一番高い足立区が「6,580円」です。基準額の差は1.24倍なのです。

全国単位で見ても、基準額の差は3倍ちょっとしかありません。

引っ越しの手間とお金をかけて移住するほど、大きなメリットとは言えないでしょう。

それよりも、節税に努めて、所得額をへらすことを考えた方が良いでしょう。

例えば、年収が250万円で控除が100万円であれば、所得は150万円です。しかし、控除を150万円に増やすことができれば、所得を100万円に減らすことができます。

所得によって分類される階級が1つ下がれば、それだけ介護保険料が安くなります。

自分が住んでいる市区町村の住民税のページを見て、利用できる控除がないか確認してみましょう。
さらに、自営業を営んでいて「経費」が使えるのであれば、もっと所得の金額を小さくすることもできるでしょう。

介護保険料に限らず、住民税を計算するための所得の金額を減らすことは、いろいろな経費が下がるというメリットがあります。

まず、自分の住民税の「所得」がいくらになっているのか、役所から来た「納税通知書」などで確認することから始めましょう。

[シニアガイド編集部]