高いところと安いところで、3倍以上も違う介護保険の保険料
介護保険料は市区町村ごとに違う
介護保険の保険料は、だいたい市区町村単位に作られた「保険者」ごとに異なります。
介護保険の保険料は、個人の収入に応じて金額が変わるので、地域ごとの比較ができるように、保険料の基準額が定められています。
ここでは、65歳以上の「第1号被保険者」の保険料を、地域ごとに比べてみましょう。
なんと、保険料が高い地域は、安い地域の3倍以上もの保険料を払っているのです。
介護保険料が安い「音威子府村」
まず、「第1号被保険者」の保険料が安い地域を見てみましょう。
都道府県名と市区町村名の次が、比較用に計算された「保険料基準額」です。ここでは月額で示しています。
その次の「~%」という数字は、「要介護認定率」です。
この数字が大きいほど、要支援や要介護と認定されている人、つまり介護保険を使う人が多いことになります。
介護保険料が一番安い「北海道 音威子府村(おといねっぷむら)」は、住民が767人の小さな村です。
そして、全国で3つしかない、要介護認定率が10%を切っている市町村の1つです。
人口が少なくても、使う人が少なければ、介護保険料は安くなるのです。
- 北海道 音威子府村 3,000円 8.5%
- 群馬県 草津町 3,300円 15.4%
- 東京都 小笠原村 3,374円 12.1%
- 北海道 興部町 3,800円 17.1%
- 宮城県 大河原町 3,900円 11.5%
- 千葉県 酒々井町 3,900円 12.2%
- 北海道 奥尻町 4,000円 19.1%
- 北海道 中札内村 4,000円 17.4%
- 埼玉県 鳩山町 4,000円 10.2%
介護保険料が高い「葛尾村」
一方、介護保険料が一番高いのは「福島県 葛尾村(かつらおむら)」です。
基準保険料は「9,800円」で、一番安い音威子府村の3倍以上になります。
要介護認定率は全国で一番高い「29.5%」でした。もうすぐ30%に届きそうです。
- 福島県 葛尾村 9,800円 29.5%
- 福島県 双葉町 8,976円 25.6%
- 東京都 青ヶ島村 8,700円 13.8%
- 福島県 大熊町 8,500円 23.2%
- 秋田県 五城目町 8,400円 22.4%
- 福島県 浪江町 8,400円 25.5%
- 青森県 東北町 8,380円 21.1%
- 福島県 飯舘村 8,297円 24.2%
- 岩手県 西和賀町 8,100円 24.2%
- 福島県 三島町 8,000円 21.9%
- 福島県 川内村 8,000円 25.6%
全国平均は「5,869円」
厚労省によれば、介護保険料の全国平均は「5,869円」でした。
しかし、実際に市区町村単位で見ると、3,000円から9,800円まで、3倍以上の開きがあります。
しかも、人口が多い都会が安く、人口が少ない地方が高いというわけではありません。
人口が少ない地域は、その地域固有の状況に影響されて、介護保険料が高くも安くもなるのです。
例えば、同じ東京都内の島でも、「小笠原村」は3,374円、「青ヶ島村」は8,700円と大差があります。
老後の住まいを考えるときは、その地域の介護保険料についても調べてみましょう。
保険料が高くても安くても、外からは見えにくい、その地域特有の事情が分かるかもしれません。