60歳を過ぎたサラリーマンの働き方の基本とチェックポイント
60歳からは働き方が変わる
会社に正規雇用されている、いわゆる「正社員」は会社が定めた定年まで働くのが基本です。
現在、定年は「60歳以上」と規定されていますから、少なくとも60歳までは、そのまま働けます。
しかし、60歳以降の働き方については、会社が採用している制度によって、働き方に大きな差があります。
ここでは、どんな選択肢があって、自分の進路を決めるためには、どこをチェックすれば良いのかという基本を紹介します。
65歳までは働けるようになった
会社に義務付けられている「65歳」までの雇用を実行するために、必要な措置は、2017年の段階で「99.7%」の会社で導入済みです。
つまり、ほぼすべての企業で、65歳まで働くための制度が整っています。
定年に関わる3つの制度
65歳まで働けるための制度は、つぎの3つが指定されています。
- 定年を65歳まで引き上げる
- 定年制を廃止する
- 希望者全員を対象とする、65歳までの「継続雇用制度」を導入する
実際には8割の企業が「継続雇用制度」を導入し、定年を変更した企業は2割しかありません。
1961年以前の生まれは制限される可能性
さきほど、継続雇用制度について、「希望者全員を対象とする」と紹介しましたが、以前はこの条件が付いていませんでした。
そのため、移行措置として、一部の会社では全員ではなく、会社が定めた基準に該当した人のみを「継続雇用制度」の対象とすることが可能です。
つまり、会社の都合で、継続雇用にする人を限定することができるわけです。
具体的には、「平成37年3月31日までは、64歳以上の人に対して」継続雇用の対象者を限定することができます。
平成37年は2025年ですから、その時点で64歳ならば、1961年生まれです。
1961年より前に生まれた人は、移行措置によって制限される可能性があります。
この移行措置の対象となっている企業は、全体の27.5%です。
つまり、4社に1社ぐらいの割合で、継続雇用制度に何かの制限が付いている場合があります。
「就業規則」をチェックしよう
ここまで分かったことを基にして、チェックポイントを探してみましょう。
チェックする対象は「就業規則」です。
「就業規則」は、社員に周知する義務があるので、多くの会社ではイントラネットなどにPDFファイルとして公開されています。
ここでは、それを前提にして、検索するキーワードを紹介します。
「就業規則」が見つからない場合は、会社の総務部門などに確認してください。
チェックポイント1:「定年」の確認
まず、「定年」の規定を確認します。
定年制度を採用していなかったり、定年が「65歳」になっていれば、これで終了です。
チェックポイント2:「継続雇用制度」の確認
多くの会社のように、定年が「60歳」だったら、次は「継続雇用制度」で検索します。
チェックするポイントは、「移行措置」の対象かどうかです。
次のように書かれていれば、希望者全員です。
従業員の定年は満60歳とし、60歳に達した年度の末日をもって退職とする。ただし、本人が希望し、解雇事由又は退職事由に該当しない者については65歳まで継続雇用する。
移行措置の対象の場合、「改正前の高年齢者雇用安定法第9条第2項に基づく労使協定の定めるところにより」という文言が入っています。
どんな条件が付いているのか確認しましょう。
制限の理由としては、次のような例があります。
- 過去○年間の出勤率が○%以上の者
- 直近の健康診断の結果、業務遂行に問題がないこと
つまり、定年前の勤務状態や健康管理の結果が、評価されるわけです。
チェックポイント3:「継続雇用制度」の内容
「継続雇用制度」の内容は企業によって異なりますが、大きく次の2つに分けられます。
- 「再雇用制度」
いったん退職の手続きをとり、別の制度のもとで再雇用します。 - 「勤務延長制度」
退職させることなく、現在の契約のままで雇用を延長します。
自分の会社が、どちらの制度をとっているか確認しましょう。
「再雇用制度」の場合は、身分、給与、契約期間、健康保険などが、これまでと異なります。
「就業規則」では、そこまでは明記されていないので、会社からの提案を待つか、会社の総務部門に事例を問い合わせるなどします。
終わりは必ず来るので、心の準備を
サラリーマン生活を送っていると、毎日の仕事の処理が最優先されるため、このままの生活がいつまでも続くような気持ちになります。
しかし、いつかは「定年」によって職場を離れるときがきます。
少なくとも50歳になったら、これから先の進路について、少しずつ覚悟と準備を進めましょう。