定年退職の前に待ち受ける「役職定年」で給料が下がる
「定年」の前に「役職定年」が待っている
40代に入り、老後の資金計画を考える際に忘れがちなのが「役職定年」です。
具体的には、「60歳」と規定されていることの多い「定年」の数年前、例えば「55歳」に役職定年は行なわれます。
「役職定年」は「定職制」とも呼ばれます。簡単に言うと、一定の年齢に達すると、管理職から外れるという制度です。
ほぼ半分の企業に役職定年制度がある
ここからは、厚生労働省の中央労働委員会が公開している「退職金、年金及び定年制事情調査」平成21年(2009年)のデータを使い、役職定年の内容を見てみましょう。
調査対象は、資本金5億円以上かつ従業員数1,000人以上の大企業で、回答数は218社です。
役職定年制度のある企業は47.7%で、ほぼ半分でした。
8割の会社で明文化されている
役職定年制度があっても、明文化された規定があるのは78.8%で、残りは慣行によって運用されています。
なお、役職定年の年齢については、81.7%の会社が「役職ごとに定めている」としており、きっちり決まっています。
人によって処遇は異なる
役職定年後の処遇は、同じ会社に勤め続けるという会社が、ほとんどです。
ただし、複数回答の合計が100%を超えていますから、出向も含めたいくつかの選択肢があり、人によって処遇が選択されると考えられます。
同じ給与が続くのは15.8%だけ
役職定年となった場合の給与ですが、役職にあった時の水準が維持されるのは、15.8%に留まっています。役職定年によって給与が下がることは覚悟しておきましょう。
そして、老後の生活設計を考える際には、役職定年による減収を考慮しておきましょう。さもないと、定年直前で貯金ができなくなり、老後の資金繰りに支障をきたします。
マネージャーからプレーヤーへ
「役職定年」は、部長→課長→係長という、組織を作っているラインの役職から外れ、特定の仕事をするスタッフに役割が変わるのが一般的です。
役割がマネージャーからプレーヤーへと変わりますので、仕事の内容も期待される成果も変わります。さらに、他社への出向ともなれば、慣れない環境への適応も求められます。
しかし、長年マネージャー、もしくはプレイングマネージャーとして過ごしていると、実際に現場で行なわれている仕事にうとくなっていることも少なくありません。
また、サポートしてくれる部下がいなくなるため、自分の能力がはっきりと見えてしまい、自分で受け入れがたいこともあります。
しかし、そこで腐ってはいけません、知識や能力を磨き直すリハビリの機会と考えましょう。出向になった場合でも、定年後の再就職の予行演習と思って立ち向かいましょう。
30代、40代のサラリーマンは、会社の中心として働いており、ある意味で会社と自分が一体化している時期です。会社の希望とあなたの希望が、交じり合い、見分けにくくなっています。
しかし、定年後に待ち受けている生活は、会社から完全に離れた、あなた個人の生活です。
役職定年になったら、本当の定年のカウントダウンが始まったと思いましょう。会社と自分との切り分けを始めるには良い機会です。
これをきっかけにして、少しずつ会社との距離を取ることを覚え、一人の個人としての生活に向けて、自分自身が求めている生き方を考え始めましょう。