家族の形で分かる、「生活の豊かさ」を感じるポイント

[2018/12/3 00:00]

日常生活の豊かさに関するアンケート

「日常生活に豊かさを感じる」感覚は、人によって大きく異なります。

例えば、人からみれば、うらやましいような環境に居るのに、「自分は不幸だ」と思い続けている人は珍しくありません。

その人は、周囲とは「生活の豊かさ」を感じるためのポイントが異なっているのです。

自分が、どんなポイントで、生活の豊かさを感じているのかを知ることは簡単ではありません。

そこで、この記事では、自分の家族の形から、豊かさを感じるポイントを探してみようと思います。

具体的には、「生活の豊かさ」を感じるポイントを、「単身世帯」つまり「一人暮らし」と、「二人以上の世帯」つまり「家族持ち」とで比較しています。

みんながどんなポイントで、豊かさを感じているのかを知れば、自分でもそれを試してみることができます。そうして、自分が生活に豊かさを感じられる状態を取り戻すきっかけにしようというわけです。

データは、金融広報中央委員会による「家計の金融行動に関する世論調査」の結果を利用しました。

家族持ちの方が「経済的な豊かさ」を感じている

まず、「経済的な豊かさ」に関する実感を比較してみましょう。

「一人暮らし」の人は、経済的な豊かさを実感している人が29%しかいません。

70%以上の人が、豊かさを実感していないのです。

「家族持ち」では、経済的な豊かさを感じている人が40%を超えています。

「一人暮らし」に比べると、豊かさを感じている人が10%以上も多いのです。

出典:データを基に編集部が作成

「年収」と「貯金」がポイント

では、「経済的な豊かさのために大切なもの」は何でしょう。

これは「一人暮らし」でも「家族持ち」でも、ほとんど差がありません。

一番多いのは「ある程度の額の年収の実現」でした。

やはり、入ってくる収入が多くないと、経済的な豊かさは実感できません。

次に多いのが「ある程度の額の金融資産の保有」です。つまり、貯金が多いということです。

それに比べると、「消費財購入やレジャー関連消費の充実」や「マイホームなど実物資産の取得」などの、お金を使うことは重要ではありません。

経済的な豊かさを感じるためには、収入を増やし、それを貯めておくことが重要です。

意外なことに、消費財や自宅にお金をつぎ込むことは、豊かさの感覚には結びついていません。

用途がなんであっても、使うとお金が減ってしまうからではないでしょうか。

モノを買う消費よりも、「手元にお金がある」という認識の方が、経済的な豊かさを感じやすいのです。

「経済的な豊かさを実感できない」という人は、お金の使い道ではなく、収入や貯金を増やすことを考えてみましょう。

出典:データを基に編集部が作成

「心の豊かさ」は「経済的な豊かさ」よりも感じやすい

次に「心の豊かさの実感」を見てみましょう。

「一人暮らし」でも半分近い人が、日常生活において「心の豊かさ」を実感しています。

経済的な豊かさよりも、心の豊かさを実感している人が多く、お金だけではない何かの要素が「心の豊かさ」には必要なことが分かります。

一方、「家族持ち」では、65%の人が「心の豊かさ」を実感しています。

経済的な豊かさと同じように、「一人暮らし」よりも「家族持ち」の方が、心の豊かさを感じている人が多いのです。

出典:データを基に編集部が作成

家族持ちは「家族」、一人暮らしは「趣味」がポイント

では、「心の豊かさのために大切なもの」は何でしょう。

これは、「一人暮らし」と「家族持ち」で大きく異なります。

「家族持ち」では、「健康」を重視する人が多く、「経済的な豊かさ」が続きます。

そして、「家族とのきずな」を挙げる人が、「一人暮らし」の4倍もいます。

「家族持ち」にとって、家族という存在が、とても大切なものであることが分かります。

もし、家族との交流に問題があったら、関係を改善する方法を考えましょう。それが、「心の豊かさ」を実感することにつながります。

一方、「一人暮らし」でも、「健康」と「経済的な豊かさ」は重要です。

そして、その次に「時間的な余裕」や「趣味の充実」が入ります。

つまり、一人の時間を確保して、好きなことに使うとが、大切なのです。

特に「趣味の充実」は、家族持ちの2倍以上の支持を得ています。

一人暮らしの人が「心の豊かさ」を感じるためには、「趣味の充実」がとても大切なポイントであることが分かります。

例えば、忙しすぎて、心の豊かさなど感じられないときは、思い切って「趣味」に時間やお金を投資してみましょう。

出典:データを基に編集部が作成

家族の形で異なる豊かさのポイント

ここまでの結果をまとめてみましょう。

「経済的な豊かさ」と「心の豊かさ」のどちらも、「一人暮らし」の人よりも、「家族持ち」の方が、実感している人が多いことが分かりました。

そして、「経済的な豊かさ」を感じるためには、「収入」と「貯金」が重要なポイントです。

「経済的な豊かさ」を感じるためには、手元にお金があるかどうかが重要なのです。

これは、家族の形を問いません。「一人暮らし」でも「家族持ち」でもポイントは同じです。

一方、「心の豊かさ」を感じるポイントは、家族の形によって異なっています。

「家族持ち」は「健康」と「家族」、「一人暮らし」は「時間的余裕」と「趣味」が、心の豊かさを感じるための大切なポイントです。

自分の日常生活において、「豊かさ」を実感できなくなったら、ここに挙げたポイントをチェックしてみましょう。

家庭の形に応じて、家族との交流や、自分の時間を趣味に費やすことが、日常生活の豊かさを取り戻すきっかけとなるのです。

[シニアガイド編集部]