自動車の所有率が高いのは「長野」と「群馬」、圧倒的に低い「東京」

[2018/12/10 00:00]

運転免許証なしに地方移住を語る人

地方移住を話題にしているときに、移住を希望して熱く語っている人が、自動車の運転免許証を持っていないと聞いて、びっくりすることがあります。

運転免許証を持っていても、自動車を所有しておらず、「もう何年も運転していない」という人も珍しくありません。

首都圏を始めとする都会では、自動車がなくても生活できるように公共交通機関が発達しているので、地方移住をしても、同じような環境があると思いこんでしまっているようなのです。

実際に地方を巡っていると、自動車が無い生活は、かなり難しいことが分かります。

この記事では、日常生活における自動車の必要性を知るために、都道府県別の自動車の所有率を比較してみました。

乗用車の所有率が高いのは「群馬県」

まず、自動車検査登録情報協会が公開している都道府県別の自動車保有台数をもとに、人口1人当りの「乗用車」の所有率を計算してみました。

この台数には、軽自動車も含まれています。

各都道府県の人口は、2017年のものを使用しました。

自動車の所有率が一番高いのは「群馬県」でした。

人口1人当り「0.70」台の乗用車を所有しています。

この計算に使っている人口の数値は、運転免許証を取れない世代も含む総人口です。

ですから、運転免許証を持っている世代に限れば、ほぼ1人当り1台を所有していると言って良いでしょう。

自動車の所有率が高い都道府県を10位まで見ても、かなり僅差で並んでいることが分かります。

  • 群馬県 0.70
  • 茨城県 0.69
  • 栃木県 0.68
  • 山梨県 0.68
  • 富山県 0.67
  • 長野県 0.67
  • 福井県 0.66
  • 福島県 0.65
  • 岐阜県 0.65
  • 三重県 0.64

乗用車の所有率が低いのは「東京都」

逆に、乗用車の所有率がもっとも低いのは、予想通り「東京都」でした。

人口1人当りの所有率は「0.23」台です。

つまり、乗用車を持っている人は、4人に1人よりも少ないのです。

これを、一番多い群馬県に比べると、3分の1以下です。

これだけ違うと、日常生活における自動車に対する感覚が、相当異なってくることが想像できます。

東京都以外では、首都圏の各県や、大阪府、京都府、福岡県など、人口の多い都道府県が並んでいます。

  • 東京都 0.23
  • 大阪府 0.32
  • 神奈川県 0.34
  • 京都府 0.39
  • 兵庫県 0.42
  • 埼玉県 0.44
  • 千葉県 0.45
  • 奈良県 0.49
  • 福岡県 0.51
  • 広島県 0.52

貨物車の所有率が高いのは「長野県」

貨物車の台数は路上の風景にも影響する

自動車は乗用車だけではありません。産業を支えているトラックなどの「貨物自動車」も重要です。

貨物車の所有率の高い県と、低い県も見てみましょう。

所有率が高いのは「長野県」です。

貨物車の所有率は、人口1人当り「0.20」台です。

つまり、5人に1人は貨物車を所有しています。

僅差で「鹿児島県」が並んでいます。

面白いことに、乗用車の所有率が1位だった「群馬県」は、貨物車の所有率では17位に留まっています。

群馬県民は、スバルのお膝元でもあり、乗用車そのものや、自動車がある生活が好きなのかもしれません。

  • 長野県 0.20
  • 鹿児島県 0.20
  • 宮崎県 0.19
  • 山梨県 0.19
  • 高知県 0.18
  • 岩手県 0.18
  • 鳥取県 0.18
  • 徳島県 0.18
  • 福島県 0.18
  • 秋田県 0.18

東京は貨物車も少ない

貨物車の所有率が低いのは「東京都」でした。

東京都の貨物車の所有率は、人口1人当り「0.05」台です。

つまり、貨物車を持っている都民は、20人に1人しかいません。

  • 東京都 0.05
  • 神奈川県 0.06
  • 大阪府 0.07
  • 埼玉県 0.09
  • 兵庫県 0.09
  • 京都府 0.09
  • 千葉県 0.10
  • 奈良県 0.10
  • 愛知県 0.10
  • 福岡県 0.11

四輪自動車の所有率が高いのは「長野県」

最後に、「乗用車」と「貨物車」を足した四輪車の台数を、人口で割った比率を見てみましょう。

四輪車の所有率が高いのは、「長野県」「群馬県」「山梨県」でした。

この3県は、ほぼ差がない状態です。

他の県も、僅差で並んでおり、自動車の必要性が高い県が多いことが分かります。

  • 長野県 0.87
  • 群馬県 0.87
  • 山梨県 0.87
  • 茨城県 0.85
  • 栃木県 0.83
  • 福島県 0.83
  • 宮崎県 0.82
  • 福井県 0.82
  • 富山県 0.82
  • 山形県 0.80

自動車を持っている都民は4人に1人

一方、四輪車の所有率が低いのは、やはり「東京都」でした。

所有率は、人口1人当り「0.28」台ですから、自動車を持っている都民は4人に1人ぐらいです。

それに続く「大阪府」と「神奈川県」、「京都府」までは、所有率が0.5を切っており、自動車を持っていない人の方が多い勘定になります。

なお、「愛知県」は人口が多い都道府県としては、例外的に自動車所有率が高く、所有率が低い都道府県のランキングに入っていません。

愛知県はトヨタのお膝元であり、「100メートル道路」などの道路整備でも知られています。

東京や大阪よりも、自動車の存在感が高い都会なのでしょう。

  • 東京都 0.28
  • 大阪府 0.39
  • 神奈川県 0.40
  • 京都府 0.48
  • 兵庫県 0.51
  • 埼玉県 0.52
  • 千葉県 0.55
  • 奈良県 0.59
  • 福岡県 0.62
  • 広島県 0.63

移住を考えたら、まず免許証を

こうしてデータにしてみると、東京都の自動車所有率の低さが、他の都道府県とはかけ離れていることが分かります。

こういう環境で過ごしていると、東京以外で生活する際の自動車の必要性がわからなくなってしまうのも無理はありません。

東京都以外でも、首都圏や大阪、京都、福岡などの大都市周辺に住んでいる人が、地方移住を考えるときは、日常生活における自動車の必要性を認識しましょう。

政府が用意した「地方移住ガイドブック」でも、運転免許証の必要性は、くどいほど強調されています。

また、高齢者が運転免許証を返納する際も、各都道府県ごとに事情が異なることを考慮する必要があります。

退職後に移住を考えるときは、自分は何歳まで運転するつもりなのかということも考えておきましょう。

出典:「地方移住ガイドブック」|首相官邸
[シニアガイド編集部]