補聴器が医療費控除の対象に。購入前に必要な手続きを解説
ちょっと耳が遠い人には補助が無かった
補聴器は、聴覚に障害がある人が聴力を補うための道具です。
そして、補聴器は、高度な技術が投入された医療機器です。
そのため、高額な製品が多く、数万円から数十万円もします。
本人の聴力が大きく低下していて、身体障害者として認定されている場合は、障害者総合支援法による補装具費支給制度を受けられる場合もあります。
しかし、「身障者の認定基準には届かないが、補聴器があると日常生活の質が向上する」という人の場合は、補助がありませんでした。
医療費控除で税金が安くなる
2018年度から、補聴器の購入費用が、医療費控除の対象となりました。
これは、直接の補助ではありませんが、税務署に申告をすることで、所得税と住民税が安くなります。
購入費用の何割かは取り戻せる可能性が出てきたのです。
ただし、医療費控除の対象にするためには、補聴器の購入にあたって、いくつかの手続きが必要となります。
この記事では、その方法について紹介します。
まず、医師の診断から
補聴器を医療費控除の対象にする条件として、「耳鼻咽喉科学会が認定した補聴器相談医に診察を受け、所定の書類を書いてもらってから、補聴器を購入する」ことが必要です。
補聴器の購入にあたっては、次のような流れになります。
- 補聴器相談医で診察を受ける。
- 『補聴器適合に関する診療情報提供書(2018)』(以下、「診療情報提供書」)に記入をお願いする。
- 補聴器販売店に「診療情報提供書」を見せて、補聴器を購入する。
- 「診療情報提供書の写し」と「補聴器の領収書」を受け取る。
- 購入した年の「医療費控除」として申告する。
「補聴器相談医」のリストと、「診療情報提供書」のフォーマットは、耳鼻咽喉科学会のWebサイトからダウンロードできます。
なお、「診療情報提供書」を書いてもらうときは、『補聴器を必要とする主な場面』という項目の”□医師等による診療や治療を受けるために直接必要”に、必ずチェックを入れてもらいましょう。医療費控除にするために必要です。
なお、確定申告の際に、「診療情報提供書の写し」と「補聴器の領収書」を提出する必要はありません。ただし、税務署に求められた場合に備えて、5年間保存しておく必要があります。
補聴器は販売後のサポートが重要
補聴器を医療費控除の対象にするために必要な手続きは、「耳鼻咽喉科学会が認定した補聴器相談医に診察を受け、診療情報提供書を書いてもらってから、補聴器を購入する」です。
補聴器を買うのに耳鼻科医に行くのは面倒と感じるかもしれませんが、聴力の低下は耳の病気が原因となっている可能性もありますから、医師の診察を受けることは良いことです。
また、補聴器は自分の生活環境や聴力に合わせて調整をしないと、効果が発揮できません。
補聴器を購入する店舗を耳鼻科医に紹介してもらうことで、きちんとした調整能力を持った販売店に出会える可能性が増えるでしょう。
医療費控除の対象になったとはいえ、補聴器が高額な医療機器であることは変わりません。
せっかく大金を投じるのですから、使いこなせるように購入後のサポートをしてくれる信頼できる販売店で購入してください。