年金生活者が収入を増やすための「公的年金等の源泉徴収票」の読み方
1月は「源泉徴収票」が届く時期
令和元年(2019年)分の「公的年金等の源泉徴収票」の発送が、1月11日から始まりました。
郵便事情などを考慮しても、1月中には手元に届きます。
「公的年金等の源泉徴収票」は、日本年金機構が、老齢年金を受け取っている人に対して送る書類です。
この記事では、この書類の内容と、受け取ったら何をすれば良いかを紹介します。
あなたに関するたくさんの情報が書かれている
「公的年金等の源泉徴収票」には、あなたにとって、重要な情報がたくさん書かれています。
主なものを箇条書きにしてみましょう。
- 昨年支払われた年金の合計額
- 年金から源泉徴収された所得税と復興特別所得税
- 年金の種別
- 源泉控除対象配偶者の有無
- 控除対象扶養親族の数
- 年金から特別徴収された社会保険料
つまり、あなたの年金と所得税に関する情報が、これ1枚に収まっているわけです。
年金と天引きされるものの金額を確認
「公的年金等の源泉徴収票」について、何を確認すれば良いでしょうか。
まず、「年金」と「源泉徴収された税金」、それに「特別徴収された社会保険料」の金額を確認しましょう。
源泉徴収や特別徴収された金額は、いわゆる「天引き」なので、こういう機会がないと、意識しません。
どれぐらい引かれているか、確認しておきましょう。
次に、「控除」の対象になっている家族に漏れがないかを確認しましょう。
人数だけではなく、それぞれの種別も確認します。
例えば、高齢者や障害者の家族がいる場合は、控除額が大きくなります。つまり、天引きされる金額が少なくなります。
控除の金額が大きくなれば、税金が減ります。間違いがないか、よく確認してください。
細かい読み方は日本年金機構のWebで
なお、年金関係の規定は、いろいろと例外があります。
例えば、所得税などが年金から源泉徴収されるのは、「65歳未満で108万円、65歳以上で158万円以上の老齢年金を受け取っている人」に限られています。
そのため、国民年金の加入者で老齢基礎年金だけを受け取っている人は、「源泉徴収」の欄には何も記載されていません。
そのあたりも含めて、「公的年金等の源泉徴収票」の詳しい読み方については、日本年金機構のこのページを参照してください。
確定申告の準備を始める
「公的年金等の源泉徴収票」の目的は、年金の支払額と源泉徴収した所得税額を証明することです。
これを何に使うかと言えば、税務署で行なう「所得税などの確定申告」です。
サラリーマンや公務員だった人には、「確定申告」は縁遠い存在だったかもしれませんが、年金受給者にとって確定申告は覚えておきたいことの一つです。
「確定申告」は、すべての所得の金額を集計して、源泉徴収された税金との過不足を精算する手続きです。
おおざっぱな言い方をすれば、サラリーマン時代には「年末調整」として会社がやってくれていたことを、自分でやるための手続きが「確定申告」なのです。
「年末調整」のおかげで、12月の給与が増えた覚えがある人もいるでしょう。
年金生活者の場合、自分でやらないと、あの増加分が戻ってこないのです。
確定申告を「しなければならない人」と「しても良い人」
まず、「確定申告をしなければならない」人の条件を挙げてみましょう。
- 収入の合計額が400万円を超える
- 公的年金以外の所得が20万円を超える
- 年金以外に給与所得がある
- 2カ所以上の年金機関に「扶養親族等申告書」を提出している
この条件に合う人は、義務ですから、ちゃんと確定申告をしましょう。
そして、「確定申告をしても良い人」の条件です。
- 「社会保険料控除」、「生命保険料控除」などを受けられる
- 地震などに被災して「雑損控除」を受けられる
- 病院や薬局などの支払いが多く「医療費控除」を受けられる
- 扶養親族等申告書を提出していない
- 扶養親族等申告書を提出した後に、扶養親族などが増加した
これらの条件に合う人は、「公的年金等の源泉徴収票」に書かれていない「控除」を申請することで、所得税などが安くなるのです。
これを「還付申告」と言います。
あらかじめ、所得税が源泉徴収されている場合、確定申告をして税金が安くなると、減った分が「還付金」として、銀行口座に振り込まれます。
つまり、確定申告をすることで、お金が戻ってくるのです。
何もしなければ一銭も戻ってこないのですから、多少の手間はかかっても、やる意味があります。
「しても良い」ではない、「しなければ損」だと思ってください。
例えば、生命保険に入っていれば「払込証明証」が、地震保険に入っていれば「控除証明書」が届いていいるはずです。
また、家族が入院するなどして、医療費が「10万円」を超えていたり、所得が200万円未満ならば、その5%を超えていたりしませんか。
そういうときこそ、「還付申告」のチャンスです。
2019年分の確定申告の受付期間は、2020年2月17日から3月16日ですが、還付申告の場合は、それ以前でも、届け出や相談ができます。
「還付申告」をすると、申告から1カ月程度で、還付金が戻ってきます。
「公的年金等の源泉徴収票」を受け取ったのを機会に、確定申告、とくに還付申告が可能かどうか確認だけでもしてみましょう。
【お知らせ】この記事は、2020年1月12日にデータを更新しました。