年金の手取りに響く「扶養親族等申告書」の締切は10月末
日本年金機構から送られてくる書類
日本年金機構が、「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」の発送を開始したと発表しています。
「扶養親族等申告書」は、公的年金から源泉徴収される所得税の金額を決めるための書類です。
そのため、年金に所得税が掛かる、約820万人に限って送られてきます。
所得税の控除の対象となる家族がいる場合は、「扶養親族等申告書」に記入して送り返すことで、年金に掛かる所得税が安くなります。
10月末日が締切
まず、「扶養親族等申告書」について、重要な項目をまとめておきましょう。
- 年金が所得税の対象となる人だけに送られてくる
- 扶養家族がいる人は必ず返信する
- 発送:2019年9月18日~10月2日
- 締切:10月31日
- 返信時に切手が必要(9月中は82円、10月以降は84円)
老齢年金に掛かる所得税
意外に思う人が多いかもしれませんが、高齢になってから受け取る「老齢年金」には税金が掛かります。
年金にはいくつか種類がありますが、「老齢年金」は「雑所得」として扱われ、所得税の対象となるのです。
なお、同じ年金でも「障害年金」と「遺族年金」には税金は掛かりません。
所得税には、「基礎控除」や「公的年金控除」という割引の制度があります。
そのため、実際に税金が掛かるのは、老齢年金の金額が下記の金額を超える人だけです。
- 65歳未満の方は108万円以上
- 65歳以上の方は158万円以上
受け取っている年金が、上記の金額以下の人は、所得税が掛からず源泉徴収の対象になりません。
その場合は、「扶養親族等申告書」が送られてきませんが、提出する必要がないということですから、気にしなくても大丈夫です。
老齢年金への所得税率は「5.105%」です。
昨年までは「扶養親族等申告書」を提出しないと、税率が「10.21%」になっていましたが、今年から「5.105%」に統一されました。
おかげで去年までのように「扶養親族等申告書」を提出しないと、必ず税金が増えるということはなくなりました。
「扶養親族等申告書」を提出すると何が安くなるのか
「扶養親族等申告書」に記載する情報は、主に家族に関することです。
- 配偶者がいる
- 扶養親族がいる
- 本人や家族が障害者
- 本人が寡婦
これらの情報をもとにして、「配偶者控除」「扶養控除」「障害者控除」「寡婦控除」などが受けられます。
それぞれ、年間にすると数十万円の控除ですから、該当する場合は、かなり所得税が安くなります。
記入は難しくない
「扶養親族等申告書」の記入は、そんなに難しくありません。
とくに、昨年も提出していて変更がない場合は「変更なし」にチェックするだけですみます。
変更があって記入する場合も、添付されている書類の案内に沿って記入すれば、そんなに難しくありません。
サラリーマン経験者ならば、年末の確定申告の書類と同じレベルと思えば良いでしょう。
家族がいる人は早目の返送を
今年から、「扶養親族等申告書」を提出しなくても、所得税の税率が上がらなくなりました。
しかし、配偶者や扶養親族がいる場合は、この書類を提出するだけで、所得税が安くなって、年金の手取り額が増えます。
家族がいる人は、きちんと記入して、早目に返送しましょう。