Amazonギフト券の返礼品で249億円を集めた小山町に、総務大臣が強い怒り

[2019/1/14 00:00]

249億円を集めた「静岡県小山町」の手口

2019年1月11日に行なわれた石田総務大臣の記者会見で、静岡県小山町(おやまちょう)について「良識ある行動とは思えない」と、2度も繰り返し、強い怒りを表明しました。

小山町は、2018年10月頃から、週末だけ限定でAmazonのギフト券を返礼品とし、返礼率も4割としていました。

これは、総務省がガイドラインとしている「返礼品は地場産品とする」「返礼率は3割以下とする」という2つの基準を逸脱するものでした。

使いやすく、換金しやすいAmazonのギフト券を返礼品としたことで、小山町のふるさと納税は人気を集めました。

複数の報道によれば、2018年のふるさと納税で集めた金額は「249億円」に達した模様です。

これは、2017年度にトップだった泉佐野市(大阪府)の「135億円」を大きく上回るものです。

現在、小山町では「ふるさと納税の受付を、今後の準備のため平成31年1月1日から当面の間、中止します」として、ふるさと納税の受付ページを閉じています。

出典:小山町

「良識ある行動とは思えない」と繰り返す総務大臣

石田総務大臣は、記者会見における質疑応答で、小山町についての質問を受けました。

公開された動画でも、「良識ある行動とは思えません」と2回繰り返したほか、「社会的にも大きな問題がある」と断言しました。

公人の記者会見としては、異例な強い表現で怒りを表しています。

特に、2019年6月からの法改正を前にして、駆け込みで隙間を突いたことに対して「法改正という制度的な隙間というのがありますよね。そこを捉(とら)まえてこういうことをされるということは、遺憾というしか申し上げようがない」と述べ、いらだちを示しました。

また、「例えば小山町、あるいはこういうアマゾンギフト券を使って多額の金額を集めたようなところも、今後はふるさと制度の対象として持続していくことになるんでしょうか」という質問に対して、石田総務大臣は、「それは、今いろいろな調査結果に基づいて、内部で検討しております」と回答し、なんらかの措置を取る余地を残しました。

「ふるさと納税」をめぐる総務省の次の一手が注目されます。

資料:石田総務大臣記者会見動画および回答全文

【石田総務大臣記者会見(2019年1月11日)】
3分40秒あたりから「ふるさと納税」に関する質問 出典:総務省動画チャンネル

石田総務大臣の回答について、原文のまま掲載しています。


 小山町における受入額等の詳細は承知をしていないんですけれども、これはですね、今お話いただいたことが事実とすれば、3割を超えている、あるいは地場産品ということを超えているわけでありまして、我々が長い期間絶えず申し上げてきた、そういうことに私は反しているというふうに思っています。

 今まで大臣がそれぞれ2回通知をして、そして、過度な宣伝・広告、あるいは過度な返礼、これについて何とか良い形のものにしていこうと、そういうことをやめてですね、そして、一定のルールの中でやっていこうということを申し上げてきたわけでありまして、それを我々としては調査もし、段取りをしているわけですけれども、それには法改正という制度的な隙間というのがありますよね。そこを捉まえてこういうことをされるということは、遺憾というしか申し上げようがないんですけれども、私は決して良識ある行動とは思えませんね、はっきり申し上げて。

 一般的に言いましても、これは社会的にも、あるいは教育的にも影響が大きいんじゃないでしょうか。この制度、従来申し上げているように、良い制度だと思いますよ。自分のふるさととか、お世話になったところとか、あるいは災害の寄附のように、何とか自分で少しでも気持ちを伝えたい、こういう制度ですから、やはり末永くこれを維持していく、守っていくためには、皆が一定のルールを守りながら、こういう制度をきちっと維持していこうということをやっていただかないと、自分のところだけが良いというような、そんなことでされたのでは、私は社会的にも大きな問題があると思います。

 特に、これは全国の市町村が関わっている、あるいは都道府県が関わっているわけですから、決してですね、何かご商売をして金もうけをしたわけではないわけで、相手の自治体の、そこに住んでおられる皆さんの善意によってなされているわけですから、あまりそういうことまでするというのは、私は制度の趣旨からいっていかがなものか。非常に良識ある行動とは思えないということをはっきり申し上げたいです。

[シニアガイド編集部]