返礼品の割合が3割以上で、地場産品でもない7つの地方自治体
5%の自治体では返礼品に問題
総務省が、ふるさと納税の返礼品について、2018年11月1日時点の調査結果を公開しています。
今回の調査結果では、1,788団体の地方自治体のうち、5%にあたる91団体について返礼品に問題があると指摘しています。
総務省では、この調査結果をもとに、ふるさと納税の制度を見直すとしています。
制度改正の内容によっては、この91団体について、ふるさと納税制度から除外される可能性があります。
総務省が求めている2つのルール
調査結果を見る前に、総務省が問題としている点を確認しておきましょう。
ふるさと納税は、地方自治体に寄附ができる制度で、寄付した金額に応じて、税金の還付があります。
さらに、多くの自治体では、寄付額に応じた「返礼品」をお礼として送っています。
しかし、ふるさと納税が活発となり、自治体同士の競争が激しくなった結果、いろいろな問題が出てきました。
これに対して、総務省は、次の2点を強制力のない「通知」という形で指示しています。
- 寄付額に対する返礼品の割合は3割以下とする
- 返礼品は、地場産品とすることが適切である
しかし、通知は強制力がないため、多くの自治体では、この2つのルールを守っていませんでした。
このため、総務省は、ふるさと納税に関する法律を改正し、ふるさと納税の返礼品に対して「返礼割合3割」と「地場産品限定」を義務付ける方針です。
今回の調査は、その前の事実関係の確認として行なわれたもので、9月の調査に続いて2回目となります。
なお、法律の改正には、国会の審議が必要となるため、新しいルールが施行されるのは、早くても2019年以降となります。
返礼割合が3割を超えるのは25団体
まず、返礼品の割合が3割を超えている自治体を見てみましょう。
9月1日の時点では、246団体ありましたが、今回の調査では「25団体」まで減りました。
この減り方は、総務省の予想を上回っています。
返礼品が地場産品ではないのは73団体
次に、返礼品が地場産品以外の自治体です。
9月1日の時点では190団体ありましたが、今回の調査では「73団体」まで減りました。
こちらの減り方も、総務省の予想を上回っています。
両方のルールに抵触している7団体
今回の調査では、「返礼品が3割以上」が25団体、「返礼品が地場産品以外」が73団体で、延べ98団体となります。
しかし、「返礼品が3割以上」かつ「返礼品が地場産品以外」という自治体が7つあるので、問題となっている自治体は91団体となります。
両方のルールに抵触している7つの自治体は次の通りです。
- 宮城県 多賀城市
- 新潟県 三条市
- 大阪府 泉佐野市
- 和歌山県 高野町
- 福岡県 福智町
- 福岡県 上毛町
- 沖縄県 多良間村
特に、泉佐野市は、調査自体に未回答としており、総務省との対決姿勢を強めています。
泉佐野市は、昨年度のふるさと納税受け入れ額の1位で、135億円を集めていますから、方針を転換することは難しいでしょう。
このままの状態では、総務省がふるさと納税の法律を改正する方向に進み、最悪の場合、今回の調査で明らかになった91団体については、「ふるさと納税」という枠から外される可能性があります。