統計の不正で、2千万人の「雇用保険」と「労災保険」に追加支給が決定
厚労省の統計不正が身近に影響
厚生労働省は、統計の不正によって、「雇用保険」や「労災保険」などの支給額に影響が出ていたとして、追加支給を行なうことを発表しました。
調査結果の不正は、単なる数字の問題ではなく、身近な生活にも影響があったわけです。
この記事では、追加支給が必要になった理由と、追加支給を受けるための方法を中心に説明します。
追加支給が必要になった理由
追加支給が必要になったのは、統計の不正によって、2004年以降の平均給与額が低めに出ていたためです。
「雇用保険」や「労災保険」は、平均給与額の変動に合わせて、支給額が変わります。
平均給与額が低く出ていた分だけ、本来の支給額よりも少ない金額になっていたのです。
追加支給が行なわれる範囲
サラリーマンに関係するもので、追加支給が行なわれる可能性があるのは、次の手当や給付です。
雇用保険
「基本手当」「再就職手当」「高年齢雇用継続給付」「育児休業給付」など
労災保険
「傷病(補償)年金」「障害(補償)年金」「遺族(補償)年金」「休業(補償)給付」など
それ以外でも、次のような制度に影響があります。
船員保険
船員保険制度の「障害年金」「遺族年金」など
事業主向け助成金
「雇用調整助成金」
公務員関係
「政府職員失業者退職手当」(国家公務員退職手当法)、「就職促進手当」(労働施策総合推進法)
対象となる期間は、2004年7月または8月以降です。
なお、なんらかの原因で、本来の支給額より多くなっていた場合でも、お金を返す必要はありません。
6月までに再計算された金額での支給が始まる
今回の統計不正によって、支給額に影響を受けた人は、約2千万人と見られています。
そのために、追加支給が始まるには時間がかかります。
最初に、現在「雇用保険」「労災保険」「船員保険」を受けている人の支給額が再計算された金額に変わります。
日程は、「2019年3月から順次6月までに」とされています。
過去分にさかのぼっての追加支給については、日程も出ていない状態です。
受給した証拠を確保する
2019年1月の時点では、追加支給の日程のめどは立っていない状態です。
これに対して、私達ができることは、関係書類などの証拠を残して置くことです。
具体的には、次のような関係書類があることを確認して、保管しておきましょう。
- 【雇用保険】受給資格者証、被保険者証
- 【労災保険】支給決定通知・支払振込通知 、年金証書、変更決定通知書
- 【船員保険】支給決定通知・振込通知、年金証書、改定通知書
- 【事業主向け助成金】 支給申請書類一式、支給決定通知書
- 【政府職員失業者退職手当】 失業者退職手当受給資格証等
- 【就職促進手当】 就職促進手当支給決定通知書など
準備を整えて追加情報を待つ
この問題に関しては、すでに、専用の問い合わせ窓口も用意されています。
しかし、いつから追加支給が始められるのか、めども立っていない状態ですから、問い合わせをしても、この記事に書かれている以上の情報は望めません。
これから厚労省がやることは、過去15年分の2千万人の支給記録を確認して「差額」を確認して、現在の価値に見合う金額に調整することです。
さらに、支給額が変わることによって、他の制度との調整が必要になる場合もあります。
つまり、それなりの時間がかかることが予想されます。
今できることは、関係書類を集めて保存し、受給の証拠を残すことです。
その上で、追加支給の日程などの追加情報を待ちましょう。