転入者が多い「東京都」と出入りが多いのはどの県か

[2019/2/12 00:00]

全国で、年間250万人が移住している

進学や就職、転勤などの理由で、他の都道府県に転居することは珍しくありません。

2018年の「住民基本台帳人口移動報告」によれば、日本国内で他の県に転居した人の数は「253万5,601人」に上り、前年よりも約3万人増えました。

日本の人口は減っていても、県境をまたいで移動する人は増え続けているのです。

この記事では、人の移動に関する4つのトピックを紹介しましょう。

移動する人数を見ると、県の実力が分かる

全国の47の県のうち、入ってくる「転入」が、出ていく「転出」よりも多い県は、8つしかありませんでした。

県名で言うと、「東京都」「埼玉県」「神奈川県」「千葉県」「愛知県」「福岡県」「大阪府」「滋賀県」です。

「滋賀県」は2018年から加わりました。

出典:データを基に編集部が作成

ただし、単に転入と転出の差を見るだけでは、その県の実力を見誤ってしまいます。

例えば、「兵庫県」は、転入と転出の差を見ると「マイナス5,330人」と大きく、一見すると県から出ていく人が多い、魅力の少ない県に見えてしまいます。

しかし、転入数では全国の8位で、1年間に約10万人が転居してきています。

つまり、約10万人の人を集める力がある県なのですが、転出者も多いので、それが目立たないのです。

県の実力を見るときは、転入と転出の差だけではなく、移動する人の数も確認しましょう。

約80万人を動かす「東京都」の力

転入者の数を県別に見ると、「東京都」は絶対的な1位です。

東京都の転入者数は「約46万人」で、2位の「神奈川県」を2倍近く引き離しています。

転出者数も多く、東京都と他県の間では、年間で80万人以上の人が移動しています。

つまり、全国で県境を越えて移動する人の、3人に1人は東京都が関係する移動なのです。

「東京都」は、それだけ多くの人を動かす力を持った場所といえます。

ここからは、「東京都」に関係する移動に絞って、その傾向を見てみましょう。

出典:データを基に編集部が作成

東京都との移動が多い3つの県

「東京都」は、どの県との間で人が動いているのでしょうか。

転入と転出の数を見ると、「神奈川県」「埼玉県」「千葉県」の隣接する3県が上位を占めています。

「神奈川県」は転入/転出とも8万人を超え、いずれも最多です。

一方、「埼玉県」は、全国で唯一、東京に転出する人よりも、東京から転出してくる人の方が多い県です。

これに、「千葉県」を加えた3県は、東京都との人の移動が多く、「東京圏」として、ほぼ一体となっていることが分かります。

また、4位の「大阪府」、5位の「愛知県」、7位の「福岡県」などは、大都市を擁しており、本社と支社間の転勤など、大都市間につきものの移動が多いことが理由と考えられます。

6位の「北海道」も、東京都から札幌市への転出が、年間6千人を超えており、その地域の中心地への移動が多いという点で同じ傾向にあります。

東京都との間で人の移動が多いのは、隣接する3県と、各地域の中心となる大都市なのです。

出典:データを基に編集部が作成

30代までに上京する人が多い

最後に、東京との移動が多い年齢を見てみましょう。

東京に転入してくる人が、一番多い年齢は「20~24歳」です。

この前後の10代後半から30代までの若い年代に移住してくる人が多いことが分かります。

年齢から見ると、大学進学や就職などによる上京が理由でしょう。

一方、東京から転出していく人が一番多いのは「25~29歳」です。

20代前半から増え始め、30代後半までが多くなっています。

大学を卒業した人や、転職時に帰郷を選択した人、仕事での転勤などの理由が考えられます。

40代になると、転入する人も転出する人も減って落ち着きます。

ただ、50代後半からは、東京への転入者よりも、東京から出ていく転出者の方が多くなります。

これは、介護や退職に伴う帰郷、周辺の県に多い老人ホームなどへの移住などが理由でしょう。

「東京都」は、移住してくる人が多い地域ではありますが、ずっと住み続ける場所ではないという選択をする人が多い場所でもあるのです。

出典:データを基に編集部が作成
[シニアガイド編集部]