65歳以上で退職したときの失業手当は、年金と同時に受け取れる

[2019/3/8 00:00]

65歳以上が対象の制度

2017年1月1日に、雇用保険が改正されて「高年齢求職者給付金」という制度ができました。

これは、65歳以上で離職した人に対して、「基本手当」(いわゆる失業手当)の代わりに給付されるお金です。

基本手当と違って、年金と同時に受け取れるなどの利点もあるので、退職時に向けて覚えておいて損はありません。

契約社員Aさんの場合

ここで、来月67歳で退職することが決まっている「Aさん」に登場してもらいましょう。

Aさんは、65歳で、今の会社に入りました。

雇用契約は1年単位の契約社員です。

フルタイムではありませんが、1日5時間、1週間に25時間働いています。

しかし、会社側の都合によって、次の契約は更新されないと言われてしまいました。

Aさんは、自分が契約社員なので、「雇用保険」に入っているかどうかも分かっていませんでした。

雇用保険は、一定の条件を満たしていれば、正社員に限らず加入しています。Aさんの場合はそれを満たしています。

Aさんも、自分の給与明細を見て、雇用保険の保険料が引かれているのを見て、少し安心しました。

Aさんの現役時代は、65歳以上で雇用された場合は雇用保険に入れなかったので、ちょっと不安だったのです。

ハローワークで手続きが必要

さて、退職の日がやってきました。

Aさんは、会社から「離職票」を受け取ります。

それを持って、もよりのハローワーク(職業安定所)に行きます。

「高年齢求職者給付金」は、ハローワークが窓口で、しかも自分で手続をしなければもらえません。

3つの条件と手順をクリア

ハローワークでは、「高年齢求職者給付金」をもらうためには、次の3つの条件があると言われます。

  • すでに離職している
  • 就職する意思があり、いつでも就職できるが仕事が見つからない状態にある
  • 離職前1年間に雇用保険に加入していた期間が6カ月以上ある

Aさんは、3つとも満たしていたので、ハローワークで求職の申込みをします。そう、働く意志を示す必要があるのです。

その後、指定された日にハローワークを再訪し、「失業の認定」を受けると、初めて「高年齢求職者給付金」が出ます

一般の「基本手当」と異なり、「高年齢求職者給付金」は全額が一度に支払われます。

「高年齢求職者給付金」の金額

さて、やっともらえた「高年齢求職者給付金」ですが、いったいどれぐらいの金額になるのでしょう。

「高年齢求職者給付金」の金額は、離職前の6カ月間の賃金をもとにして計算されます。

ここでは、細かい計算方法は省きますが、「高年齢求職者給付金」の金額は、現役時代の月給の半月分~1.3カ月分ぐらいになります。

Aさんも、当座の生活費の足しになるお金が入って一安心です。

形だけの求職ではなく、良い仕事をちゃんと探して、70歳まで働く気力が湧いてきました。

年金といっしょに受け取って大丈夫

「高年齢求職者給付金」には、もう一つ大きな特徴があります。

それは、年金と同時に受け取れることです。

「高年齢求職者給付金」を受け取ることによって、年金が減らされることはありません。

Aさんのように、年金を受け取りながら働いている人も、安心して手続きできます。

「離職票」を持ってハローワークに行こう

Aさんの例でおわかりのように、「高年齢求職者給付金」は、65歳以上で職を失ってしまった場合に、とりあえず生活を維持するために有効な制度です。

64歳以下の「基本手当」に比べて、支給額は少ないのですが、一括払いでもらえて、年金との関係も気にしなくて良いという利点もあります。

退職して「離職票」を手にしたら、ハローワークへ顔を出してみましょう。

実際の支給額なども、そこで計算してもらいましょう。

[シニアガイド編集部]