住んでいる街やふるさとに遺産を残す「遺言代用信託」

[2019/3/28 00:00]

指定の自治体に寄付ができる

オリックス銀行が、自分の死後に金銭を自治体に寄付できる遺言代用信託商品「かんたん相続信託<遺贈寄附特約>」を開始します。

この商品は、生前にオリックス銀行に現金を預けておき、本人の死亡が確認されると、指定の自治体に寄付金が支払われます。

例えば、自分の住んでいる街や、故郷の自治体に、遺産の一部を残したいという人に向けた商品です。

一般の遺言代用信託は、遺族が受け取ることを前提にしていますが、この商品は送る相手を自治体に限定した珍しいもので、オリックス銀行では業界初としています。

手数料ゼロで、100万円以上を寄付

「かんたん相続信託」には、次の特徴があります。

  • 申込みできる金額は、100万円以上2,000万円以下(100万円単位)
  • 申込手数料や信託報酬は0円
  • 元本保証
  • 信託期間は最長30年
  • 一定の収益金が年に1度支払われる

オリックス銀行は契約が済み、信託が開始された時点で、自治体に寄付する金額を預かります。

オリックス銀行は、預かった現金を運用して、一定の利益を出すことを目指します。

あらかじめ指定されている金額以上に利益が出た場合は、オリックス銀行が信託報酬(手数料)として受け取りますが、それ以外の手数料は掛かりません。

運用に失敗して、預けられた金額(元本)を割ってしまった場合は、オリックス銀行が補填します。

申し込みの流れ

契約した本人の死亡が確認された場合は、オリックス銀行は指定の自治体に寄付を行ないます。

死亡後の流れ

相続人以外に財産を残す方法

自分が死んだ後の財産を、家族などの法定相続人以外の人に残すことを「遺贈(いぞう)」と言います。

しかし、遺贈を行なうためには、遺言書の作成などの手続きが必要なため、あまり普及していません。

相続や遺贈されることなく、国に納められてしまう個人財産は、2017年度で約520億円に達しています。

今回の「かんたん相続信託」では、遺贈の対象を地方自治体に限定し、手続きを簡単にすることで遺贈が普及することを目指しています。

遺言代用信託を使った遺贈のメリットは、相続人などの第三者を介さずに、確実に実行されることです。

どうせ国に納められてしまうお金なら、世話になった、愛着のある自治体に寄付をして感謝の意を表したいという人には使いやすい商品と言えるでしょう。

[シニアガイド編集部]