会社が加入していないので、厚生年金から「漏れている」人が156万人もいる
156万人が厚生年金から漏れている
本来は厚生年金に加入していなければならないにも関わらず、国民年金に加入している人が約156万人もいるという推計を、厚労省が公開しています。
現在の法律では、一定の基準を満たしている企業(法人)や個人事業所は、厚生年金に加入する義務があります。
しかし、厚生年金に加入すると従業員の保険料の半分を負担する必要があります。
そのため、会社側の負担が増えることを嫌って、加入手続きを怠っている企業が少なくありません。
今回の推計では、それらの会社に勤めている従業員の数を、法人の従業員が約143万人、個人事業所の従業員が約13万人で、合計で「約156万人」に上ると推定しています。
これだけ多くの人が、本来は加入すべき厚生年金から漏れているのです。
将来の年金額には大差がある
国民年金と厚生年金では、将来、受け取れる年金の金額に大きな差があります。
国民年金の場合、65歳から受け取れる「老齢基礎年金」の年額は一番多くても「780,100円」です。月額にすると「65,000円」ぐらいです。
厚生年金の場合、現役時代の収入や加入期間によって受け取れる金額が変わりますが、2018年度の実績で、男性の平均月額は「165,668円」、女性の平均月額は「103,026円」です。
「厚生年金に加入すると保険料が増えて、手取りが減るから嫌だ」という人もいますが、将来の年金額に大きな差があることは覚えておいて良いでしょう。
厚生年金への加入条件
では、どんな人が厚生年金に加入しなければならないのでしょうか、その条件を見てみましょう。
まず、次のいずれかに勤めていることが条件となります。
- 株式会社等の法人の事業所(事業主のみの場合を含む)
- 農林水産業、飲食店・宿泊業等の場合を除く従業員が常時5人以上いる個人事業所
つまり、一人社長の株式会社や、個人事業のままで5人以上雇っている場合も、厚生年金に加入しなければなりません。
2016年からは、パートタイムで働いている労働日数が少ない人でも、次の条件を満たしていれば、厚生年金に加入することになりました。
- 従業員数が501人以上の会社で働いている
- 1週間の所定労働時間が20時間以上である
- 雇用期間が1年以上見込まれる
- 賃金の月額が8万8千円以上である
- 学生でない
パートの件でも分かるように、厚生年金に入らなければならない枠は、徐々に広げられています。
今の仕事が楽しくて満足していても、将来の不安を抱えていては安心して仕事が続けられません。
もし、自分の働いている会社が、厚生年金に加入すべきなのに国民年金のままであれば、一度、会社に確認してみましょう。