厚労省の外郭団体が計算ミス。来年度の介護保険料の料率にも影響する可能性

[2019/4/9 00:00]

計算ミスで200億円分が不足

根本匠厚生労働相は、2019年4月5日の記者会見で、介護保険料の徴収業務にミスがあったことを確認しました。

今回のミスは、厚労省の外郭団体である「社会保険診療報酬支払基金」によるものです。

「社会保険診療報酬支払基金」の役割は、組合健保などの医療保険者から納付金を徴収し、各市町村へ交付を行なうことです。

その仕事の一環として、「社会保険診療報酬支払基金」は、40歳以上の会社員が納める介護保険料について、金額を計算する基準となる数値を提示します。

今回、その数字を低く誤ったたため、2019年度に徴収する介護保険料が、200億円前後不足する恐れがあります。

なお、健康保険基金の多くは、すでに今年度の予算を立てているため、修正された金額を納めることができない可能性があります。

つまり、厚労省の外郭団体が計算を間違えたことによって、健康保険組合は、予備費からの出費や、来年度の追加徴収を求められる羽目になったわけです。

また、基金から厚労省にたいして、誤りがある可能性があると連絡を受けたのは1月であったにも関わらず、3月まで健康保険組合などへの対応がなかったことが明らかになっています。

これに対して、根本厚労相は「3月中旬に介護納付金に関する計算ミスが生じており支障がないよう対応していくという報告を口頭で受けた記憶があります」とした上で、「今回の件に対して支払基金における対応及び省内における対応を含め事実関係を十分確認したいと思います。その上で必要な対応を行ないたいと思います」と回答しました。

来年度の介護保険料の料率に注目

今回、健康保険組合は予算編成が終わった段階になってから、改めて介護保険料を追加で請求された形になりました。

予算に余裕があり「予備費」でまかなえる場合は良いのですが、予算に余裕がなく、今年度に納付ができない場合は、来年度に繰り越される場合があります。

最悪の場合、来年度の予算が足りず、組合員から徴収される来年度の介護保険料の料率が引き上げられる可能性もあります。

自社の健康保険が健康保険組合の場合は、来年に明らかになる「介護保険料の料率」に注目しておきましょう。

もし、来年の介護保険料の料率が上がっていたとしたら、それは厚労省の外郭団体による計算ミスが原因であり、それを放置していた厚労省の責任である可能性が高いのです。

[シニアガイド編集部]