「介護職員の平均給与が初の30万円超え」というニュースの実態

[2019/5/3 00:00]

介護職員の給与がニュースに

少し前に「介護職員の平均給与が初の30万円超え」というニュースが流れました。

老人ホームに伺うたびに、スタッフの仕事の大変さを見聞きしているだけに、給与が上がったのは嬉しいことです。

しかし、公開されたデータを見ていると、単純に喜んで良い状況ではないことも分かります。

ここでは、常勤の介護職員の給与について、実際の状況を紹介します。

実際の月額は「25万円」ぐらい

厚労省が行なった調査によれば、介護職員の「平均給与額」は「30万970円」でした。

これは前年の「29万120円」に比べて、1万円以上増えています。

確かに、介護職員の給与は上がっています。

ただ、この「平均給与額」は、求人サイトなどでいう「給与」や「月給」とは、内容が異なっています。

実は、「平均給与額」の内訳を見ると、「基本給」と「手当」のほかに「一時金(賞与等)」が含まれています。

正確に言うと、「平均給与額」とは、ボーナスを含む4月から9月の収入を6等分した金額なのです。

しかし、求人サイトで「給与」と言えば、「一時金」は含まないのが普通でしょう。

では、求人サイトと同じように計算した「給与」は、いくらになるのでしょうか。

厚労省のデータをもとにして、介護職員の収入を求人サイト風に表現すると、次のようになります。

  • 月給(額面) 25万2,550円
  • 半期分賞与 29万520円
  • 総年収 361万1,640円(ボーナスが年2回と想定)

「月額給与」は、基本給「18万1,220円」と手当「71,330円」の合計ですから、「25万2,550円」になります。

「平均給与が初の30万円超え」というニュースと、実態との間には差があると言えるでしょう。

出典:データを基に編集部が作成

まだまだ、いろいろな方面で介護職員の待遇は改善する余地がありそうです。

パートの時給は「1,110円」

介護職員の働き方には、ここで紹介した「常勤/月給」のほかに「非常勤/時給」があります。

厚労省のデータによれば、非常勤の介護職員の平均時給は「1,110円」でした。

他の業種の時給に比べて、低くはありませんが、すごく高くもありません。

月額の収入は「10万5,030円」なので、月の労働時間は約95時間になります。

労働時間から見ると、パートタイマーとして働いている人が多いことが分かります。

資格が必要な職種は、給与にも反映される

介護施設で働いているスタッフは「介護職員」だけではありません。

最後に、同じ施設で働く違う職種のスタッフと、収入を比較してみましょう。

グラフを見ると、「介護職員」よりも、高い収入の職種が目立ちます。

これらの職種は、専門の資格が必要とされるため、それが収入にも反映されているのです。

「介護施設で働きたいが、少しでも収入を良くしたい」という希望がある人は、資格の取得をめざしましょう。

なお、データの都合で、ここで使っている「平均給与額」には、さきほどと同じように「一時金(賞与等)」が含まれています。そのまま、月給の額面ではありませんから、注意してください。

この金額を12倍すれば、ボーナスを含む年収になりますから、それを目安にしてください。

出典:データを基に編集部が作成
[シニアガイド編集部]