ネットで儲けた個人に対する「追徴課税」は平均186万円
ネットで利益を上げた個人に対する税務調査
インターネットの普及に伴い、個人が利益を上げる手段も増えています。
例えば、スマホのフリマアプリで手持ちの物を販売した経験がある人は多いでしょう。
それに伴って、インターネットによる取り引きによる利益を申告せず、脱税をしてしまう人も増えています。
しかし、そういう状況を税務署が見過ごすわけはありません。
「インターネット取り引きを行なっている個人」に対する税務調査の件数は年々増えています。
調査の件数は、年間2,000件を超える
国税庁などの機関は、「事務年度」という単位で動いています。
これは、その年の7月1日から翌年6月30日を指します。
「インターネット取り引きを行なっている個人」に対する調査は、平成29事務年度(2017年7月~2018年6月)には、「2,015件」に上りました。
税務署による実地調査は年間で7万件に上りますから、まだその一部でしかありません。
しかし、年間2千人というのは少ない数字ではありません。
通販とオークションで半分を占める
調査の対象となった取り引きの主な分野は次の通りです。
- ネット通販(オンラインショッピングサイトの運営)
- コンテンツ配信(音楽、動画、静止画、書籍などの販売)
- ネットオークション(オークションサイトやフリマアプリによる取り引き)
- ネット広告(広告掲載による利益)
- ネットトレード(株、商品先物、外国為替などの取り引き)
- その他のネット取引(出会い系サイトの運営など)
調査件数が多い分野は「ネット通販」「ネットオークション」で、この2つで半分以上を占めています。
1千万円以上の申告漏れも珍しくない
調査の結果、判明した「申告漏れ」は「219億円」でした。
1件当たりにすると「1,087万円」です。
これを分野別に見ると、一番少ないネット通販で「776万円」、一番多いネットトレードで「1,441万円」となっています。
つまり、数百万円以上の売り上げがあれば、分野に関わらず、税務署に把握され、調査に入られると見て良いでしょう。
申告漏れが見つかるとどうなるか
調査の結果、追加で課せられた「追徴課税」の総額は「約37億円」でした。
調査1件当たりでは「約186万円」です。
これだけたくさんの税金を取られる上に、しばらくの間、税務署からマークされて、注目される存在になります。
税務署は、仲介業者から情報が得られる
税務署は、どうやってインターネット上の利益を把握しているのでしょうか。
一例として「アフィリエイト」を対象にした調査の例を紹介しましょう。
アフィリエイトは、ブログなどで紹介した商品について売り上げが上がると、それに対して報酬が貰えるシステムです。
アフィリエイトを行なうときは、アフィリエイトを取りまとめて紹介している「ASP(Affiliate Service Provider)」という業者と契約を結びます。
税務署が、特定の個人に対して、多額のアフィリエイト報酬を得ていると判断すると、ASPに任意の協力を求めて、必要な情報を照会します。
その上で、アフィリエイトの収入を申告していないことが分かれば、調査に入るわけです。
これと同じように、ネット通販、オークション、ネット広告、暗号資産(仮想通貨)などの業者は、税務署から任意の協力を求められれば、必要な情報を提供しています。
つまり、以前のように「ネットでの取引だから、税務署には分からない」ということは、まったくありません。
ある程度の利益が上がったときは、税務署に相談して、きちんと確定申告を行ないましょう。