年金生活者の半分以上は、年金以外の収入が無い
年金だけで暮らしている人が半分を超える
年金制度について不安を抱いて、「老後は年金だけで暮らせるのかだろうか」と考えることがあります。
現在の状況で言えば、年金をもらっている人の半分以上は、年金だけで暮らしています。
例えば、厚労省の「平成29年 年金制度基礎調査」を見ると、「65歳以上で年金をもらっている人」のうち、「年金以外の収入が無い人」が56.8%を占めています。
つまり、半分以上の人は年金だけで暮らしているのです。
80代になると70%以上が年金だけで暮らしている
年金だけで暮らしている人の割合を年齢別に見てみましょう。
「65~69歳」では、まだ働いている人が多いので「35.9%」です。
70代になると50%を超え、80代になると70%を超えます。
年金の平均支給額は「147万円」
今の高齢者は年金をたくさんもらっているから、年金だけで暮らせるのでしょうか。
実は、そんなに多くはもらっていません。
1年間の「公的年金の支給額」を見ると、平均額は「147万8千円」です。
月額にすると「12万3千円」です。
支給額の分布を見ると、一番多いのは「100~200万円」で、次に多いのは「50~100万円」でした。
多くても「200~300万円」までで、「300万円以上」という人はめったにいません。
女性の支給額は少なくなりやすい
ちょっと注意が必要なのは、年金の支給額には男女差があることです。
平均支給額は、男性が「190万8千円」ですが、女性は「114万8千円」です。
これは、厚生年金が、現役時の加入期間と賃金をもとにして計算されるためです。
現在の高齢者の世代では、女性が専業主婦となる割合が高く、高齢年金の加入期間がないか、あっても短かったために、このように差が出てしまうのです。
支給額の分布を見ても、男性は「200~300万円」が多く、女性は「100~200万円」が多くなっています。
「年金だけ」でも暮らせるが余裕は無い
ここまで見てきたように、現在、年金をもらっている高齢者の半分以上は、年金だけで暮らしています。
しかし、支給額は平均で147万円ですから、そんなに余裕がある生活ではありません。
夫婦2人分もらって、ようやく一息つく状態というのが現実でしょう。
この数字からもわかるように、「年金だけで安心して暮らせる」というのも間違いですし、「年金はまったくアテにならない」というのも間違いです。
「年金は収入の柱だが、それだけに頼らず、他の収入も確保しておく」というのが、とりあえずの落としどころでしょう。
この調査でも、65歳以上の高齢者の23.9%は、年金をもらいながら、なんらかの形で働いています。
また、貯蓄が無い人は13.9%しかいません。逆に言えば8割以上の人は貯蓄を持っています。
つまり、老後も働くなり、現役時代に貯めるなりして、生活を支えているのです。
そういう現状を知っていれば、自分の老後について、どのような対策を始めればよいのかヒントになるかもしれません。