高齢者の自宅をリフォームするなら、どこから始める
自宅のリフォームのポイント
高齢者は、自分の体が動きにくくなるにつれて、自宅の欠点が目につくようになります。
例えば、「玄関に大きな段差がある」、「廊下が滑って転びやすい」、「階段が上りにくい」などが、気になりやすい点です。
こういうときには、バリアフリー化を目的としたリフォームを行なうことで、自宅での生活が送りやすくなります。
では、具体的に、どんなリフォームを行えば良いのでしょうか。
介護保険の規定や、高齢者へのアンケートなどから、リフォームのポイントを探してみましょう。
介護保険が使える5つのリフォーム
介護保険では、「住宅改修」という名前で、リフォームの補助が受けられます。
介護認定を受けた人が、あらかじめ申請をすることで、工事費用の1~3割を負担するだけですみます。
リフォームはお金がかかるので、これだけ安くなるのはありがたい制度です。
対象となっている工事は、次の5つです。
- 手すりの取付け
- 段差の解消
- 滑りの防止や移動がスムーズに行えるようにするための床材の変更
- 引き戸等への扉の取替え(引き戸の新設も含む)
- 洋式便器等への便器の取替え
さらに、これらの工事に伴って必要となる工事にも、1割の補助が出ます。つまり、自己負担が9割ですみます。
こちらは、次のような工事が対象となります。
- 手すりの取付けのための壁の下地補強
- 浴室の床の段差解消に伴う給排水設備工事
- 床材の変更のための下地の補修や根太の補強
- 便器の取替えに伴う給排水設備工事、床材の変更等
高齢者の希望が多いのは「手すり」と「浴槽」
では、実際にリフォームを行なうとすれば、どこから手を付ければ良いのでしょうか。
2016年に、内閣府が60歳以上の高齢者1,976人に対して行なった調査が参考になるでしょう。
これは、「今後、身体の機能が低下しても現在お住まいの住宅に引き続き住み続けるためには、どのような改造(リフォーム)が必要だと思いますか。あてはまるものをすべてあげてください」と聞いています。
回答は、次の通りでした。
- 特にない 45.1%
- 手すりを設置する 32.8%
- 浴槽を入りやすいものへ取り替える 21.0%
- 床や通路面の改造(段差解消、滑りにくい材質への取り替え、拡幅等) 20.0%
- ブザーの設置など防犯設備や緊急通報のための装置を設置する 19.6%
- 浴室やトイレに暖房装置を設置する 11.0%
- 寝室とトイレの位置など間取りの変更をする 9.2%
- 流しや洗面台、台所のコンロを取り替える 7.0%
- 引き戸などへ扉を取り替える 4.6%
- 和式便所を洋式便所などへ取り替える 3.3%
- その他 3.3%
「特にない」という答えが多いのは、調査対象が60歳以上と比較的若いからでしょう。
次に多いのが「手すりの設置」で、その次が「バスルームの浴槽の交換」です。
「床や廊下の改造」と「緊急通報装置の設置」あたりまでが、工事の希望が多い項目です。
介護保険を使う場合は役所か地域包括支援センターに相談を
ここまでの結果を見ると、「廊下や階段の手すり」「床や廊下の段差解消と滑り止め」「浴室の改造」などが、高齢者が住む住宅のリフォームのポイントでした。
これらのリフォーム工事に介護保険を利用する場合は、本人の介護認定が必要です。また、自治体によっては、支払いの関係で、介護保険の工事を行なう業者が指定されていることがあります。
これらの前提条件がありますから、まずはもよりの役所の介護保険窓口か、地域包括支援センターに相談してみましょう。
いきなり、リフォーム業者に相談すると、補助金なしでリフォーム工事が進んでしまう可能性があります。
せっかくの補助制度ですから、介護保険が使えないか試してからでも遅くはありません。