2040年の首都圏では、60歳以上の単独世帯が90万を超える
首都圏の高齢単独世帯が55%も増える
不動産評価Webサイトを運営するタスが、「2040年には、首都圏の60歳以上で、賃貸住宅に住む単独世帯が90万世帯を超える」という分析を公開しています。
これは、2015年の実績に対して、55%も増加することになります。
タスでは、次のように警告しています。
これらはすべて将来の空き家、空室予備軍となりますので、首都圏の高齢化の深刻さがご理解いただけると思います。特に賃貸住宅においては、今後の管理・運営において高齢者対策は不可欠なものとなりますし、高齢化による空室の市場への放出を念頭に置いた供給計画が求められます。
一人暮らしの高齢者が増え続ける
タスの分析を、少し後追いしてみましょう。
もととなったデータは国立社会保障・人口問題研究所の「日本の世帯数の将来推計(都道府県別推計)」です。
これを家族の形ごとに見ると、一人暮らしの「単独世帯」が大きく増加することが分かります。
首都圏では、「埼玉県」は2040年まで、「東京都」「千葉県」「神奈川県」では2035年まで、「単独世帯」の増加が続きます。
そして、単独世帯は増加するだけではなく、高齢化が進みます。
2040年には、「埼玉県」「千葉県」「神奈川県」の単独世帯の半分以上を「60歳以上」が占めるようになります。
「東京都」でも、単独世帯の43%が60歳以上となります。
このようにして、2040年時点の「60歳以上の単独世帯」を推計すると、首都圏全体では、約335万世帯になります。
さらに、国勢調査に基づいて住居別に推計すると、「持家の世帯」が約242万世帯、「民間借家の世帯」が約93.5万世帯となります。
こうして「2040年には、首都圏の60歳以上で、賃貸住宅に住む単独世帯が90万世帯を超える」という結論になります。
同じように計算すると、2040年に民間借家に住む60歳上の単独世帯は、「東京都」だけでも「約44万世帯」になります。
つまり、賃貸住宅の家主が、入居者について「60歳以上お断り」などの年齢制限をすると、この大きな需要を取り逃がすことになってしまうのです。
2040年の自分は、どんな家に住んでいるか
しかし、大きな需要があることが分かっていても、賃貸住宅のオーナーから見ると、高齢の入居者はリスクが高い存在です。
それは、賃貸オーナー向けの「孤独死対策保険」が商品化されていることや、高齢者が借りやすい「住宅セーフティネット制度」への応募が低調なことからも分かります。
そのため、全ての賃貸住宅が高齢者に対して開かれた存在になることは考えにくいでしょう。
入居する側としては、これをきっかけにして「2040年の自分は、どんな家に住んでいるか」を考えて見ると良いでしょう。
持ち家にするにしても、賃貸にするにしても、約20年後の自分の住まいを想像してみることは無駄ではありません。