消費者庁、「花粉を水にする」と表示した光触媒マスクに措置命令
「花粉を水にする」が不当表示
消費者庁が、光触媒を使用したマスクの販売事業者4社に対して、景品表示法に基づく措置命令を行ないました。
これらの製品は、「花粉/ハウスダスト/カビ等のタンパク質や、汗/ニオイ/ハナミズ/不衛生タンパク質を分解して水分子に変える画期的なクリーン技術です」などと表示して販売されていました。
消費者庁は、4社に対して、表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めましたが、提出された資料は、表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものとは認められなかったとしています。
消費者庁では、これらの表示は、消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示すものであり、景品表示法に違反するものであるとして、表示の中止や再発の防止を命令しました。
「科学的根拠を全く無視した内容」と反発
措置命令を受けた4社、大正製薬、DR.C医薬、玉川衛材、アイリスオーヤマは、措置命令を受けたことを自社サイトで公開しました。
しかし、各社の受け止め方には差があります。
アイリスオーヤマはお詫びに徹しています。
該当製品をご購入頂いたお客様をはじめとする関係者の皆様には、信頼を損なう結果となり、心よりお詫び申し上げます。今般の事態を重く受け止め、今後、このようなことが起きぬように再発防止に向けて全力で取り組んでまいります。
一方、大正製薬では、措置命令への不満を表明しており、「法的な措置を検討中」と明記しています。
今回の措置命令の指摘事項は、当社が消費者庁に提出した科学的根拠を全く無視した内容で、合理的なものでないと考えております。今後、法的に採り得る対応・措置を検討中です。
この態度の差は、製品への力の入れ方の差かもしれません。
花粉症用のマスクは使いやすさが優先
2018年12月にマクロミルが行なったアンケートによれば、スギ花粉シーズンの花粉症対策にかける金額は、1人当たり4,550円に達しています。
花粉症対策品の市場が大きくなるにつれて、他の製品との競争が激しくなります。
今回も、製品の差別化を図るために、機能の表示が行き過ぎてしまったのでしょう。
また、一般社団法人 日本衛生材料工業連合会によれば、花粉症対策としてのマスクは、花粉のサイズが20~30ミクロンと、PM2.5などに比べて大きいため、一般的な製品で十分に防ぐことができます。
花粉症用のマスクは、機能面よりも、顔へのフィット感や、呼吸のしやすさなどの使いやすさで選びましょう。