ホームヘルパーの人手不足で「老人福祉・介護事業」の倒産が増加
[2019/7/9 00:00]
上半期の倒産件数が急増
企業信用調査会社の東京商工リサーチが、2019年上半期の「老人福祉・介護事業」の倒産状況を公開しています。
2019年上半期(1月~6月)の「老人福祉・介護事業」の倒産件数は「55件」でした。
これは、2000年に介護保険法が施行されて以降で最多となっています。
ホームヘルパー事業の倒産が多い
特にホームヘルパーなどの「訪問介護事業」の倒産が多く、全体の半分以上を占める「32件」に達しました。
昨年の同じ時期は「18件」だったので、急激に増えていることが分かります。
デイサービスセンターなどの「通所・短期入所介護事業」や、「有料老人ホーム」などは、昨年の同時期よりも少なくなっています。
88%の企業が「募集しても応募がない」と回答
東京商工リサーチでは、「訪問介護事業」の倒産が多い原因として、「人手不足」を挙げています。
2018年12月に、業界団体である全国ホームヘルパー協議会が公表したアンケートでも、「ヘルパーを募集しても応募がない」と回答した企業が88%に上りました。
訪問介護事業者にとって、ヘルパー不足が大きな課題となっていることが分かります。
人手不足が、業績不振や売り上げ不足につながり、最終的には倒産へとつながっているのです。
倒産は利用者にも負担
なお、「老人福祉・介護事業」は小規模な企業が多く、倒産後は再建されることなく消滅する割合が9割を超えています。
介護サービスを利用している人にとっても、利用している業者の倒産は他人事ではなく、せっかく慣れたサービス業者を選び直すという負担が生じることを覚えておきましょう。