かんぽ生命、過去の契約内容を再調査。不利な契約を元に戻すチャンス

[2019/7/16 00:00]

事実を認めてようやくお詫び

かんぽ生命保険などを掌握する日本郵政が、かんぽ商品についてのお詫びと対応方針を公開しました。

かんぽ生命保険については、新規契約への無理な乗り換えによって、契約していた保険が無くなったり、病気の際に保険金が出ないなどの問題が明らかになっています。

8月末までに過去の契約を見直し

日本郵政による対応方針は次の2点です。

  • 2019年7月と8月は、現在契約している顧客からの問い合わせへの対応や訪問を最優先する
  • 問い合わせのない顧客にも、通知をして契約内容の確認等を行なう

これに伴って、8月末までは、かんぽ商品の積極的な勧誘は行なわないとしています。

かんぽ商品に関する保険金の支払いや各種手続きなどは通常通り行なわれます。

保険を無くした場合は、過去の契約を復元

今回、問題になっているのは、生命保険の契約の乗換です。

一般的な生命保険では、保険の契約内容を変更する場合に、以前の契約から途切れなく、新しい契約に乗換できます。

これを「契約転換」と言います。

しかし、かんぽ生命の場合、「契約転換」の仕組みがありません。

そのため、以前の契約を打ち切って、新しい契約を結び直す形になります。

これを利用して、現在契約している顧客に、以前の契約を打ち切らせて、新しい契約を結び直させることが行なわれていました。

こうすることで、営業担当者は新規の契約を取ったことになったのです。

しかし、これによって、困った問題がいくつも出ています。

  • 以前の契約の方が有利な条件だったのに、保険金が少ないなど不利な契約になってしまった
  • 以前の契約は打ち切ったが、年齢や健康状態の問題で新規の契約ができなかった
  • 新規の契約が結べないと困るので、健康状態などを偽って申告しており、病気の保険金が出なかった
  • 新規の契約が結べるかどうかわからないので、以前の契約を打ち切っておらず、保険料を二重に支払っていた

このうち、新規の契約が結べず、保険が無くなってしまった例だけでも約2万4千件ありました。

問題のある契約の全体の件数は明らかになっていません。

かんぽ生命では、新規の契約が結べなかった件については、以前の契約を復元し、契約が無かった期間の入院や手術については保険金を支払うとしています。

その他の件についても、本人の意志で契約されたのかどうかを確認し、必要に応じて、以前の契約を復元するとしています。

不利な契約に乗り換えてしまっている場合は、元の契約に戻すチャンスとなります。

家族の加入状況と契約日の確認を

この問題について、現時点でやっておきたいことがあります。

1つは、家族全体でかんぽ生命との契約が無いか確認しておきましょう。

特に、60代以上の場合、「郵便局の簡易保険」のイメージがあるため、引き続き契約をしている例があります。

もし、契約があったら、ここ数年以内に、新しく契約を結び直していないか確認しましょう。

離れて住んでいる親御さんなどについても、「テレビでやってたけれど、損な契約になっている可能性があるから」と言って保険証書を確認してもらうと良いでしょう。

問い合わせをする際は、付き合いのある郵便局員などに頼まず、「かんぽ生命コールセンター」へ直接問い合わせることをお勧めします。

[シニアガイド編集部]